2026年9月4日 金曜日
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ElevenLabsが画像・動画生成APIに進出、ローカルMCPは廃止──changelogで確認する8月の3つの変更

ElevenLabsは2026年8月、90言語超対応で区間だけ再生成できる「Dubbing v2」API、画像・動画・音声生成をチェーンできる「ElevenCreative」、そしてローカルMCPサーバのホスト型MCPへの移行を、それぞれ公式changelogで発表した。Claude Code経由でElevenLabs MCPを使っている層に影響する変更を含め、日付ごとに整理する。

ElevenLabsが画像・動画生成APIに進出、ローカルMCPは廃止──changelogで確認する8月の3つの変更
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音声合成・音声クローンで知られるElevenLabsが、2026年8月に3つの変更を公式changelogで相次いで公開した。音声の会社が画像・動画生成APIに手を広げたこと、そしてローカルMCPサーバーの廃止という、利用者に直接影響しうる変更が同じ月に重なっている。

3行まとめ

  1. 8月10日、翻訳しつつ話者ごとの声・トーン・テンポを保持する「Dubbing v2」がAPIで利用可能に。原文と訳文をJSONとして編集でき、変更した区間だけ再生成できる。
  2. 8月17日、「ElevenCreative」として動画・画像・音声生成の非同期Flows APIが追加。ただしモデル一覧をcurlで確認すると、中身はOpenAI・Google・ByteDance・Creatifyのモデル(Seedance v2/v2.5・Veo 3.1含む)を統一APIで呼び出す集約レイヤーで、ElevenLabs自社製の画像・動画モデルではない。
  3. 8月22日、ローカルMCPサーバを非推奨化し、OAuthでサインインするホスト型MCP(api.elevenlabs.io/v1/mcp)へ移行。旧リポジトリはアーカイブされた。Claude Code経由でElevenLabs MCPを使っている層には実害が出る変更だ。

Dubbing v2 API(8月10日)

公式changelogによると、Dubbing v2は90言語超への翻訳に対応しながら、話者ごとの声・トーン・テンポを保持する機能だ。原文のトランスクリプトと訳文を、編集可能なJSONとして保持できる点が特徴で、翻訳結果を確認して一部だけ修正したい場合に、変更した区間だけを再生成できる。全体を再生成し直す必要がないため、コストと時間の両面で効率化になる設計だ。

ElevenCreative:「自社モデル」ではなく他社モデルの統合窓口だった

8月17日のchangelogでは、「ElevenCreative」として動画・画像・音声生成の非同期Flows APIが追加されたことが記載されている。あわせて、再利用可能なメディアアセットAPIも追加された。アップロード済みのアセット、過去の生成物、あるいはinline base64データを参照して、生成をチェーン(連鎖)させられる仕組みだという。

製品トップページ(elevenlabs.io/docs/creative/overview)は404だったが、changelogがリンクしていた実際のガイドページ(/docs/eleven-api/guides/cookbooks/image-and-video)は正常に読み込めた。これをcurlで確認すると、ElevenCreativeの実態が分かる。「APIはElevenLabsアプリ内で使えるモデルのサブセットを公開している」と明記されており、実際に使えるモデルの一覧は次の通りだった(2026年8月29日確認)。

種別 提供元 モデルID(一部)
画像 OpenAI gpt-image-1gpt-image-1.5gpt-image-2
画像 Google gemini-2.5-flash-imagegemini-3-pro-imagegemini-3.1-flash-imageなど
画像 ByteDance bytedance-seedream-5-litebytedance-seedream-5-pro
動画 Google veo-3.1-generate-001veo-3.1-fast-generate-001
動画 ByteDance bytedance-seedance-v2v2-fastv2-miniv2.5
動画 Creatify creatify-aurora(画像+音声からのリップシンク生成)

つまりElevenCreativeは、ElevenLabs自身が新たに画像・動画生成モデルを開発したわけではなく、OpenAI・Google・ByteDance・Creatifyといった他社のモデルを、統一されたAPI・課金体系でまとめて呼び出せるようにした「集約レイヤー」だ。ドキュメントには「ByteDanceのモデルは既定で無効化されており、利用には事前の承認が必要(Enterpriseの顧客はサポートに問い合わせて申請できる)」という制限も明記されている。生成はクレジット制で課金され、「モデル・解像度・尺などのパラメータによってコストが変わり、APIでもアプリ内でも同額。実際のコストはアプリのプレイグラウンド上で送信前に確認できる」とされている。

音声合成企業として知られてきたElevenLabsが、こうした形で画像・動画生成の「アグリゲーター」としての役割に踏み出したことになる。自サイトで既に扱っているSeedance系のモデル(Seedance v2・v2.5を含む)が、ElevenLabsのAPI経由でも呼び出せるようになった、という点は、動画生成AIの選択肢を比較する上でも押さえておく価値がある。

ローカルMCP廃止:実害が出る変更(8月22日)

日本語圏の技術者・AIツール利用者にとって、最も実務的な影響が大きいのがこの変更だ。8月22日のchangelogによると、ElevenLabsはローカルで動かすMCP(Model Context Protocol)サーバを非推奨化し、OAuthでサインインするホスト型MCP(api.elevenlabs.io/v1/mcp)へ移行した。旧リポジトリはアーカイブされている。

Claude CodeなどのAIコーディングツール経由でElevenLabsのMCPサーバーを使っている利用者にとっては、これまでのローカル実行の設定が使えなくなり、新しいホスト型のOAuth認証フローへの切り替えが必要になる、実害を伴う変更だ。単なる機能追加のお知らせではなく、既存の運用フローの見直しを迫るタイプの変更であることに注意したい。

旧リポジトリ(elevenlabs/elevenlabs-mcp)をGitHub APIで確認すると、2026年8月29日時点で1,533スター・250フォークという、それなりに使われていたツールがアーカイブされたことが分かる。旧リポジトリのREADME自身も「このローカルMCPサーバーはホスト型MCPサーバーの登場により非推奨」「このリポジトリはもうアクティブにメンテナンスされない」と明記していた。

さらに重要なのは、新旧で提供される機能の範囲が同じではないという点だ。旧README(curlで直接確認)は、旧サーバーを「Text to Speech・音声処理APIとやり取りできる公式MCPサーバー。音声生成・音声クローン・音声の文字起こしなどができる」と説明していた。一方、新しいホスト型MCPサーバーの公式ドキュメントを確認すると、そこに列挙されている機能は「エージェントの作成・設定変更・一覧表示・複製・削除」「会話履歴の閲覧」「LLM利用コストの見積もり」「テキストからの音声生成(ダウンロードリンクとして返却)」で、中心はElevenLabsの「Conversational AIエージェント」を管理するための操作になっている。音声クローンや音声の文字起こしといった、旧サーバーが前面に出していた機能が、新しいドキュメントの機能一覧には見当たらない。移行は単なるホスティング先の変更ではなく、MCP経由で提供される機能の重心が「汎用的な音声生成ツール」から「エージェント管理ツール」に移った可能性がある。

Claude向けの具体的な接続手順も、ホスト型MCPの公式ドキュメントに記載されていた。Claude Desktopの場合、公式ディレクトリに登録済みのため「設定 > コネクタ」から「ElevenLabs」を検索して「Connect」を選び、OAuthでサインインするだけで完了する。EU・インド・シンガポールなど、データレジデンシー(データ保存地域)が分離された環境を使っている場合は、既定のグローバルURLではなく地域ごとの専用URL(例: EU向けはhttps://api.eu.residency.elevenlabs.io/v1/mcp)を手動でカスタムコネクタとして追加する必要がある、という注記もあった。

なぜ単体記事として書く価値があるか

changelogレベルの粒度の変更は、通常であれば週刊まとめの1項目として扱う方が適切な場合もある。しかし、ローカルMCP廃止という変更は、自サイトの視聴者層(Claude Code経由でAIツールを組み合わせて使っている層)に直接関わる実務的な影響がある。この角度に絞れば、単体記事としての価値は上がる。

Claude Codeでの実際の接続手順は試していない

  • ElevenCreativeの製品トップページ(elevenlabs.io/docs/creative/overview)は本記事執筆時点でも404のままだが、changelogがリンクしていたガイドページ・モデル一覧ページは正常に読めたため、そちらを一次資料として本記事を書いている。ただし各モデルの具体的なクレジット単価(ドル換算の実費)までは、本記事で確認したページには数値が明記されておらず、確認できていない。
  • ホスト型MCPへの接続手順は、Claude Desktopでの公式手順(設定 > コネクタから接続)を紹介したが、Claude Code(ターミナル上のCLI)での具体的な設定コマンド・接続確認については、本記事では実際に試していない。両者で手順が異なる可能性がある。
  • 「新旧でMCPの機能範囲が変わった」という指摘は、新旧それぞれの公式ドキュメントに列挙された機能リストを比較した結果の推測であり、ElevenLabs自身が「機能を絞った」と明言しているわけではない。音声クローン・文字起こし機能が新しいホスト型MCPから完全に無くなったのか、単にドキュメントの記載から漏れているだけなのかは、本記事のソースだけでは断定できない。
  • Dubbing v2の「区間だけ再生成」機能、およびElevenCreative経由でのSeedance・Veo呼び出しの実際の精度・品質については、本記事では独自に試用・検証していない。

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