話し言葉を整った文章に変換するGoogleの新AI「Eloquent」──サブスクなし・オフライン動作の音声入力アプリ
Googleが2026年4月6日、iOS向けに音声入力アプリ「Google AI Edge Eloquent」を静かに公開した。Gemmaベースの音声認識モデルをオンデバイスで動かし、「えーと」「あのー」といったフィラーを自動で除去、文体を「フォーマル」「短く」などに変換できる。サブスクリプションなし・利用上限なしという位置づけを、TechCrunchと9to5Googleの報道から確認する。

目次
音声入力アプリの世界では、Wispr FlowやSuperWhisperといった有料サブスクリプション型のツールが先行してきた。Googleが2026年4月6日、これに対抗する形でiOS向けに公開したのが「Google AI Edge Eloquent」だ。TechCrunchと9to5Googleの報道に加え、App Store自体の公開情報を直接curlで確認し、公開から約5か月後の現在地も追った。
3行まとめ
- Google AI Edge Eloquentは2026年4月6日、Googleが「静かに」公開したiOS向け音声入力アプリ。Gemmaベースの音声認識モデルをオンデバイスで動かし、フィラーワードを自動除去する。
- App Store公式ページ(iTunes Lookup APIで直接確認)によれば、2026年8月29日時点で最新版はバージョン1.4.1(8月21日更新)と、公開後も継続的にアップデートされている。同時期のリリースノートには「日本語を含む14の新しい言語に対応」という記載があり、公開当初は英語のみだった対応言語が日本語を含む15言語に広がっている。
- ただし開発者自身がApp Storeのレビュー欄で回答している内容によれば、非英語(日本語含む)では「文体変換(フォーマル・短く等)」機能はインターネット接続を要する場合があり、完全オフラインで動くのはディクテーション本体(一度改良版モデルをダウンロードした後)に限られるという。
何が公開されたか
TechCrunchのIvan Mehta記者によれば、Googleは2026年4月6日、オフライン動作を前提にした音声入力アプリ「Google AI Edge Eloquent」をiOS向けに静かに公開した。アプリのApp Store説明文はこう記載している。
"Google AI Edge Eloquent is an advanced dictation app engineered to bridge the gap between natural speech and professional, ready-to-use text. Unlike standard dictation software that transcribes stumbles and filler words verbatim, Eloquent utilizes AI to capture your intended meaning. It automatically edits out 'ums,' 'uhs,' and mid-sentence self-corrections, outputting clean, accurate prose."
自然な話し言葉と、プロフェッショナルですぐ使えるテキストとの間のギャップを埋めるために設計された、高度な音声入力アプリだという。話者の「つまずき」やフィラーをそのまま文字起こしする標準的な音声入力ソフトと異なり、Eloquentは話者の意図をAIで捉え、「えーと」「あのー」や文中の言い直しを自動的に取り除き、整った正確な文章を出力する、と説明されている。
仕組み:Gemmaベースの音声認識モデル
アプリは無料でダウンロードでき、Gemmaベースの自動音声認識(ASR)モデルをダウンロードすれば、その場でスマートフォン上での音声入力を始められる。アプリ内ではリアルタイムの文字起こしと波形が表示され、一時停止すると自動的にフィラーワードを除去し、テキストを整える。9to5Googleの記事によれば、停止ボタンを押すとGoogleはテキストをクリーンアップし、自動的にクリップボードにコピーして他のアプリに貼り付けやすくするという。
テキストの変換オプション
文字起こしの下には、テキストを変換するための選択肢が用意されている。TechCrunchの記事によれば「Key points(要点)」「Formal(フォーマル)」「Short(短く)」「Long(長く)」といったオプションがある。9to5Googleも同様に、要点を箇条書きで表示したり、文章をよりフォーマルに、短く、あるいは長くしたりできると報じている。
オフラインモードとGemini連携
アプリにはクラウドモードのオン・オフ切り替えがある。クラウドモードをオフにすると、ローカルのみの処理になる。9to5Googleの記事によれば、右上のトグルで「完全オフライン」モードを有効にでき、その場合は会話内容が端末外に出ない。一方でGeminiを有効にすると「テキストの磨き上げを強化」できるとされている。TechCrunchも「クラウドモードがオンのとき、アプリはテキストのクリーンアップにクラウドベースのGeminiモデルを使う」と補足している。
辞書機能とGmail連携
「Dictionaries」機能では、よく使う固有名詞や専門用語を追加して認識精度を上げられる。Googleアカウントでサインインすれば、最近送信したGmailのメッセージから、そうした単語をインポートすることもできるという。履歴タブでは、すべての文字起こしセッションを確認・検索・削除でき、直近セッションの単語、1分あたりの単語数(words-per-minute)、総発話単語数といった利用統計も表示される。
料金:サブスクリプションなし、上限なし
9to5Googleの記事は「Google says this app offers 'voice dictation without subscriptions' and that there's 'no cap' in terms of usage.(Googleはこのアプリが「サブスクリプションなしの音声入力」を提供し、利用に「上限はない」としている)」と報じている。有料の競合アプリに対する明確な差別化ポイントとして打ち出されている。
5か月後の現在地──日本語が使えるようになっていた
TechCrunch・9to5Googleの報道は2026年4月時点のものだが、本記事執筆にあたってApp Store自体の公開情報(iTunes Lookup APIおよびApp Store公式ページ)をcurlで直接確認したところ、公開から約5か月が経った現在の状態が分かった。
| 項目 | 内容(2026年8月29日確認) |
|---|---|
| 最新バージョン | 1.4.1(2026年8月21日更新) |
| 初回リリース日 | 2026年4月6日 |
| 対応言語 | 英語に加え、日本語・中国語・韓国語・スペイン語・ドイツ語・イタリア語・ポルトガル語・ヒンディー語・インドネシア語・ロシア語・タイ語・トルコ語・ベトナム語など、計15言語 |
| 評価 | 5点満点中3.8(評価数10件) |
| ファイルサイズ | 約137MB |
| 価格 | 無料 |
対応言語の拡大は、バージョン1.4.0のリリースノート(App Store上で確認)に明記されている。原文の見出しは「Say namaste, nǐ hǎo, and konnichiwa to 15 dictation languages」で、「Global Voices」という項目に「14の新しい言語に対応した。スペイン語・ドイツ語・イタリア語・ポルトガル語・中国語・日本語・韓国語・ヒンディー語・インドネシア語・ロシア語・タイ語・トルコ語・ベトナム語(もちろん英語も引き続き)」との記載があった。公開当初(4月)は英語のみだったと考えられる対応言語が、この時点で日本語を含む15言語に広がったことになる。
ただし、非英語での「完全オフライン動作」には条件がある。App Store上のユーザーレビューへの開発チームの返信(アカウント名は伏せるが、公式の返信として表示されている)によれば、「最新版では、改良版のローカルモデルを一度だけダウンロードする必要があり、その際はインターネット接続が必要になる。それが完了すれば、全言語のディクテーション自体は完全にオフラインで動作する。ただし、英語以外の言語における文体スタイル変換・磨き上げといった高度な機能の一部は、引き続きインターネット接続を必要とする場合がある」という趣旨の説明があった。つまり、日本語で音声入力そのものは(初回のモデルダウンロード後)オフラインでできても、「フォーマルに」「短く」といった変換機能まで含めた完全オフライン動作は、英語ほど保証されていない可能性がある。
Androidへの展開は「近日公開」、Play Storeにはまだない
TechCrunchの記事は、公開当初はiOS版のみだったが、App Storeの説明文にはAndroid版への言及があったと報じている。記事は2026年4月7日22時30分(太平洋時間)の更新として「同社はApp Storeの掲載内容を更新し、Androidアプリへの言及を削除した。ただし、iOS版キーボードは近日公開予定と追記した」と書いている。App Store説明文によれば、Android版は「シームレスなAndroid統合」を提供し、任意のテキストフィールドでシステム全体から使えるデフォルトキーボードとして設定できる予定とされる。ただし9to5Googleの記事時点(4月6日)では、Play Storeでの提供は確認されておらず、iOS限定なのかは「不明」と書かれている。
「AI Edge」というGoogleのブランド
9to5Googleの記事は、「AI Edge」がGoogleのオンデバイスAI体験を指すブランド名であり、Eloquentは既存の「Google AI Edge Gallery」(Gemmaの最新バージョンをダウンロードできるアプリ)に続く展開だと位置づけている。
関連する話題
音声を文字にする技術全般についてはWhisper文字起こしガイド、実際の日本語音声認識の精度検証については文字起こしAI実測、会議の議事録AI全般との比較はAI議事録ツール比較も参照してほしい。
Android版の現況はApp Store側の情報だけでは分からない
- 本記事はTechCrunchと9to5Googleという2つの第三者メディアの報道に加え、App Store公式ページ・iTunes Lookup APIを2026年8月29日にcurlで直接確認した内容にもとづく。Google自身の公式ブログ・プレスリリースは本記事執筆時点でも見つけられなかった。「静かにリリースした(quietly released)」という表現自体が、両メディアともGoogleからの正式な発表がなかったことを示唆している。
- 日本語での実際の音声認識・文体変換の精度は、App Store上のリリースノート・レビューの記述を確認したのみで、本記事では実機での検証を行っていない。「日本語に対応した」という事実と、「日本語でどの程度実用的に使えるか」は別の問題であることに注意したい。
- Android版の提供状況は、iTunes側の情報からは判断できず、本記事ではGoogle PlayストアでのAndroid版の有無を確認できなかった。TechCrunchが報じた「iOS版キーボードは近日公開予定」というApp Store説明文の記載が、本記事執筆時点でどうなっているかも未確認。
- 「利用上限なし」とされているが、Gemini連携時のクラウド処理にどの程度の制限(レート制限など)があるかについての詳細は、確認した範囲のソースには記載がなかった。
- App Storeのレビューへの開発チームの返信は、Appleのレビュー欄という性質上、投稿者が本当にGoogleの担当者かどうかを第三者が完全に確認する手段がない。本記事では「Google AI Edge Eloquentの開発者として表示されるアカウントの返信」として扱っており、Google公式の声明と同列には位置付けていない。
出典・参照資料
- 二次資料Google quietly launched an AI dictation app that works offline(TechCrunch、2026-04-07) ↗
- 二次資料'Google AI Edge Eloquent' is an offline, subscription-less voice dictation app(9to5Google、2026-04-06) ↗
- 一次資料Google AI Edge Eloquent(App Store公式ページ) ↗
- 一次資料Google AI Edge Eloquent 配信データ(iTunes Search/Lookup API) ↗
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