2026年8月28日 金曜日
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OpenAI自社チップJalapeño、初の実測値公開──NVIDIA最上位比ワット効率1.5〜1.9倍

OpenAIが自社設計チップ「Jalapeño」の実測結果を公開。公開ベンチマークInferenceXでNVIDIA GB200/GB300と比較し、ワットあたり処理量1.5〜1.9倍・レイテンシ最大3.6分の1と発表。年内に自社インフラへ配備予定。

OpenAI自社チップJalapeño、初の実測値公開──NVIDIA最上位比ワット効率1.5〜1.9倍
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目次

OpenAIが2026年8月25日、初の自社設計チップ「Jalapeño(ハラペーニョ)」の実測結果を公開した。SemiAnalysis製の公開ベンチマークInferenceXでNVIDIAの現行最上位クラスGB200/GB300と比較し、OpenAI発表によると、同じ電力でこなせる処理量が1.5〜1.9倍、応答の所要時間は1.7〜3.6分の1。6月の発表時に「未公表」だった性能数値が、初めて具体的な形で出てきたことになる。

🎥 この記事の解説動画(AI時短ラボ・11分53秒)https://youtu.be/-B9pm4XZR1c

  • OpenAI発表によると、Jalapeñoはワットあたり処理量1.5〜1.9倍・エンドツーエンド遅延1.7〜3.6分の1(対GB200/GB300・3モデル横断)
  • 測定は公開ベンチマークInferenceX。GPT-OSS 120BだけでなくDeepSeek R1・Kimi K2.5でも同傾向と主張
  • 年内にOpenAI自身のインフラへ配備開始。第2世代は開発中、第3世代も始動済みと明言

実測の中身

項目 内容(OpenAI発表)
ベンチマーク InferenceX(SemiAnalysis製・公開)
対象モデル GPT-OSS 120B / DeepSeek R1 670B / Kimi K2.5 1T
比較対象 NVIDIA GB200(GPT-OSS)/ GB300(DeepSeek・Kimi)
ワットあたり処理量 ピーク時1.5〜1.9倍
エンドツーエンド遅延 1.7〜3.6分の1
高インタラクティブ用途 2.1〜4.1倍
消費電力(公称TDP) Jalapeño 700W(実測持続550W以下)/ GB200 1,200W / GB300 1,400W
配備 2026年内にOpenAI自社インフラへ開始。Gen 2開発中・Gen 3始動

OpenAIは「スループット(効率)とレイテンシ(速さ)は通常トレードオフだが、測定範囲では両方で上回った」と主張している。効率の単位を「チップあたり」でなく「ワットあたり」に置いているのは、性能報告の基準として「電力あたりがより有用」というOpenAI自身の立場による。

「53倍」「104倍」は条件付きの数字

発表の付録には最大104.3倍という数字も並ぶが、これは比較対象システムを従来の最速応答設定に固定した特定動作点だけの差で、全体の実力差ではない。条件を選ばずに出ているのは上記のワットあたり1.5〜1.9倍で、引用するならこちらが堅い。

あわせて留保が3つある。

  • 測定者はOpenAI自身。ベンチマーク自体は公開のものだが、第三者による追試結果は本記事執筆時点で未発表
  • 電力の正規化は各チップの公称TDPベース(実測消費電力の比較ではない)
  • 「社内のフロンティアモデルでは差がさらに広がった」という記述には具体的な数字がない

6月の「まだわからないこと」への答え合わせ

当サイトは6月の発表時記事(OpenAIが自社チップ「Jalapeño」を発表)で「まだわからないこと」を4点挙げていた。今回の発表で3点に答えが出た。

6月時点の未解決点 今回の答え
具体的な性能数値は未公表 対GB200/GB300でワット効率1.5〜1.9倍ほか(OpenAI自社測定)
「全てのLLMに対応」の実態 DeepSeek R1・Kimi K2.5という外部モデルでの測定値を公開
NVIDIAとの関係への影響 「NVIDIAのチップは基盤であり、今後も広く配備し続ける」と明言
製造プロセスノード 引き続き未公表

AIがチップを作り、そのチップの上でAIを動かす

今回の発表でもう1つ目を引くのは、開発工程へのAI投入の具体化だ。OpenAI発表によると、設計からテープアウトまで9ヶ月という速度は設計案の探索・検証ループをAIで回した結果であり、さらに一部の処理ブロックではAI生成カーネルが人間の専門家の実装より1.5〜1.8倍高速だったという(対象は選抜ブロックのみ、と原文に明記がある)。

この作業に使われたと記載されているのが「Codex with GPT-Astra」という組み合わせだ。GPT-Astraは公開されていないモデル名で、発表文書にはこれ以上の説明がない。

なぜ作るのか──CFOが同日に出した「答え」

実測レポートと同日、Sarah Friar CFO名義の戦略記事も公開された。そこでは自社チップの狙いとして、モデル・サービングソフト・チップ・ネットワークの一体設計、提供コストの主導権、そして「複数の供給元への信頼できる選択肢を保つことが価格規律を維持する」という点が明記されている。供給ポートフォリオとしてはMicrosoft・NVIDIAに加え、AWS・AMD・Broadcom・Cerebras・CoreWeave・Oracle・SB Energy・SoftBankが列挙された。

背景には、業界全体のNVIDIA依存がある。NVIDIAの直近決算(2026会計年度第4四半期)はデータセンター売上623億ドル・GAAP粗利率75.0%。供給割当・価格・技術ロードマップが一社に集中する構造で、2025年8月にはロイターの報道によると、対中輸出許可と引き換えに対中売上の15%を米政府に納付する取引も行われた。チップの調達が価格・供給・地政学の三方向から一社の事情に左右される状態への保険が、各社の自社チップ開発を後押ししている。

なお自社チップは業界の新潮流ではなく、Google TPU(2016年公表・現行第7世代)、AmazonのTrainium、MicrosoftのMaia、MetaのMTIAと、クラウド大手は軒並み手掛けてきた。一方でTeslaは2025年8月にDojoをいったん打ち切っており(Musk氏いわく「進化の袋小路」、TechCrunch報道で確認済み)、簡単な領域ではない。なお「2026年1月に再始動を宣言」という記述は、今回参照した出典のいずれにも記載がなく確認できなかった。クラウド事業を持たないAI専業企業が実測結果つきの自社シリコンまで到達したのは、OpenAIが初めてだ。対照的にAnthropicは自社開発をせず、TPUとTrainiumに相乗りする路線を取っている。

動画では

解説動画では、実測値の読み方(堅い数字と派手な数字の見分け)、AIがチップ設計を担い始めた話、各社の自社チップ事情、NVIDIA一極集中のリスク構造までを12分でまとめている。

OpenAI自社チップJalapeño実測公開を解説(11分53秒)

関連記事:AIチップ産業マップ2026 / OpenAIが自社チップ「Jalapeño」を発表(2026年6月)

数値ごとの出典と未確認事項

  • 性能数値はすべてOpenAI公式発表(2026年8月25日)および同日のCFO記事に基づくOpenAI自身の測定値。第三者による追試は本記事執筆時点(2026年8月26日)で未発表
  • NVIDIAの決算数値は同社公式発表(2026年2月25日)による(粗利率75.0%は四半期値。通年は71.1%)
  • 対中売上15%納付は2025年8月11日のロイター報道(米当局者談)による
  • GPT-Astraが何のモデルかは公式に説明がなく、本記事では憶測を加えていない
  • 第三者ベンチマークの追試結果が出た場合、本記事に追記または続報記事でお知らせします
  • サムネイル画像はOpenAI公式プレス画像を使用
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出典・参照資料

更新・訂正履歴

  • Teslaが2026年1月にDojoを再始動したという記述を削除し、出典で確認できなかった旨を明記。frontmatterのsourcesにこの再始動を報じるものは含まれておらず、TechCrunchのDojo打ち切り記事(2025年8月11日)にもその後の再始動の記載はなかった。NVIDIA決算のデータセンター売上623億ドルおよびGAAP粗利率75.0パーセント(四半期)71.1パーセント(通年)は出典のNVIDIA公式発表と一致することを確認した。TeslaのDojo打ち切りに関するMusk氏の進化の袋小路という発言もTechCrunch記事の引用と一致することを確認した。それ以外のOpenAI自社チップの実測数値(ワット効率1.5から1.9倍など)は主出典であるopenai.com配下の2ページがbot対策のブロックにより取得できず今回は裏取りできていない。
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