2026年8月28日 金曜日
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NVIDIAのAI半導体支配 ― 売上21.6兆円、TSMCの先端パッケージ60%を確保

NVIDIAの2026年度通期売上は2,159億ドル(前年比65%増)、データセンター部門はQ4だけで623億ドルを記録した。TSMCのCoWoS先端パッケージの約60%をNVIDIAが確保し、供給は2027年まで完売状態が続く。

NVIDIAのAI半導体支配 ― 売上21.6兆円、TSMCの先端パッケージ60%を確保
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目次

3行まとめ

  1. NVIDIAの2026年度(2026年1月期)通期売上は2,159億ドル(前年比65%増)、データセンター部門が売上の約91%を占めた(通期ベースの正確な比率は89.7%。詳細は本文末尾「訂正」節参照)
  2. AIアクセラレータ市場シェアは2024年のピーク87%から2026年末には75%程度に低下する見通しだが、市場自体が急拡大しているため売上は増加し続けている
  3. TSMCのCoWoS先端パッケージの約60%をNVIDIAが確保し、供給は2027年まで完売状態

NVIDIAの決算が示す数字

決算数値

NVIDIAの公式発表によると、2026年度(2026年1月期)の業績は以下の通り。

指標 数値 前年比
通期売上 2,159億ドル +65%
Q4売上 681億ドル +73%
Q4データセンター売上 623億ドル +75%(前四半期比+22%)

データセンター部門が全売上の**約91%**を占めており(このQ4単独に近い比率と通期ベースの数字の違いは後述「訂正」節参照。通期ベースでは89.7%)、NVIDIAは事実上AIインフラ企業になっている。

2026年5月に発表されたQ1 FY2027(2025年2-4月期)の売上は816億ドルで、成長ペースは加速した。供給コミットメント(発注済みの調達契約)は952億ドルに膨らんでおり、前年からほぼ倍増している。

全社の粗利率は開示されている

NVIDIA公式リリースには、売上と並んで粗利率が載っている(確認日:2026年8月14日)。下表のうちFY2026通期・FY2026 Q4の2行はFY2026第4四半期決算リリース、FY2027 Q1の行はFY2027第1四半期決算リリースの数値で、出典は2本のリリースに分かれる。

期間 GAAP粗利率 non-GAAP粗利率
FY2026 通期(2026年1月期) 71.1% 71.3%
FY2026 Q4(2025年11月〜2026年1月) 75.0% 75.2%
FY2027 Q1(2026年2〜4月) 74.9% 75.0%

通期71.1%に対してQ4が75.0%と差があるのは、期の途中で一度下がっているため。NVIDIAは10-K(2026年2月25日提出)で、FY2026の粗利率低下の理由として「Hopper HGXシステムの提供からBlackwellのフルスケール・データセンターソリューションへとビジネスモデルが移行したこと」と「H20の過剰在庫および購入義務に関連する45億ドルの費用計上」を挙げている。

在庫および過剰在庫購入義務に対する引当は、10-Kによると FY2026通期で72億ドル(うち45億ドルがH20分)、FY2025は37億ドル。粗利率へのマイナス影響はFY2026が2.6%、FY2025が2.3%と記載されている。FY2027 Q1の引当は11億ドルまで下がり、粗利率へのマイナス影響は1.2%(前年同期は11.0%)。

希薄化後1株当たり利益はFY2026通期でGAAP 4.90ドル、non-GAAP 4.77ドル。FY2027 Q1はGAAP 2.39ドル、non-GAAP 1.87ドル。

会社自身が出しているガイダンス

決算リリースには次四半期の見通しも載っている。

対象四半期 売上ガイダンス GAAP粗利率 non-GAAP粗利率 GAAP営業費用 non-GAAP営業費用
FY2027 Q1 780億ドル ±2% 74.9% 75.0% 約77億ドル 約75億ドル
FY2027 Q2 910億ドル ±2% 74.9% 75.0% 約85億ドル 約83億ドル

粗利率はいずれも±50ベーシスポイントの幅つきで示されている。

FY2027 Q1の実績は816億ドルで、自社ガイダンス780億ドルを約4.6%上回った。ただしガイダンスは会社の見通しであって、達成が保証された数字ではない。

Q2のガイダンスについてNVIDIAは、中国からのデータセンター向けCompute売上を一切見込んでいない(is not assuming any Data Center compute revenue from China)と明記している。910億ドルという数字は中国分ゼロを前提にしたものだ。

売上はどの国の顧客から来ているか

10-Kと10-Qには地域別売上が載っている。ただし両方に「直接顧客の本社所在地に基づく。最終顧客および出荷先は本社所在地と異なる場合がある」という定義が明記されている。

地域 FY2026通期 構成比 FY2027 Q1 構成比
米国 1,496億ドル 69.3% 638億ドル 78.1%
台湾 423億ドル 19.6% 120億ドル 14.7%
中国(香港含む) 197億ドル 9.1% 45.5億ドル 5.6%
その他 43億ドル 2.0% 12.9億ドル 1.6%
合計 2,159億ドル 100% 816億ドル 100%

(金額は開示値、構成比は開示値からの計算)

台湾の比率が高いのは本社所在地ベースだからで、10-Kには「FY2026において、台湾に本社を置く顧客からのデータセンター売上の76%は、米国および欧州を拠点とする最終顧客に帰属すると推定している」という注記がある。この表を「需要の所在地」として読むと誤読になる。

米国外に本社を置く顧客の比率はFY2026通期で31%、FY2027 Q1では22%(前年同期は42%)。中国(香港含む)は通期で250億ドル(FY2025)から197億ドル(FY2026)へ、Q1では96.6億ドルから45.5億ドルへ減っている。10-Qは、FY2027 Q1に中国向けデータセンターHopper製品の出荷がなかった(前年同期は46億ドル)と記載している。

チップ各社の位置関係はAIチップ業界地図(NVIDIA/AMD/Intel/独自チップ)で整理している。

供給コミットメント952億ドルの中身

952億ドルという数字は、NVIDIAが2026年2月25日に提出した10-K(FY2026年次報告書)の注記に出てくる。項目名は「製造・供給・キャパシティのコミットメント」で、2026年1月25日時点で952億ドル、そのほぼ全額がFY2027中に支払われる、と書かれている。

同じ注記には他のコミットメントも並んでいる(いずれも2026年1月25日時点)。

項目 金額
製造・供給・キャパシティのコミットメント 952億ドル
複数年のクラウドサービス契約 270億ドル
投資コミットメント 114億ドル
その他 34億ドル

より新しい10-Q(2026年5月20日提出、2026年4月26日時点)では、製造・供給・キャパシティのコミットメントは1,190億ドルに増えている。内訳は「うち950億ドルがFY2027の残り期間に支払われ、残額はFY2028〜FY2031に支払われる」。複数年クラウドサービス契約は300億ドル、その他ベンダーコミットメントは60億ドル。

なおNVIDIAは同じ注記で、これらの契約の一部は「取消・スケジュール変更・自社の事業ニーズに応じた調整が可能」であり、変更すると追加コストが発生する場合があると書いている。全額が確定した発注というわけではない。

市場シェアと供給

Silicon Analystsのレポートによると、NVIDIAのAIアクセラレータ市場シェアは2024年に87%でピークを記録した後、2026年末には75%程度に低下すると予測されている。ただし、市場全体が急拡大しているため、シェアが下がっても売上は増えている構造だ。

AInvestの報道によると、NVIDIAはTSMCの最大顧客であり、TSMCの売上の22〜25%を占める。AI向けに必要な先端パッケージング技術「CoWoS」については、Morgan Stanleyの推計でNVIDIAが2026年分のウェハー80万〜85万枚を確保し、TSMC全体の**約60%**に相当するとされる。

TSMC CEOはCoWoSの供給が「2026年中は極めてタイト、バックエンド設備は2027年まで完売」と述べている。

製品ロードマップ

Blackwell世代(B200/GB200)が量産段階に入り、B300「Blackwell Ultra」のリフレッシュ版が2026年前半に投入された。次世代のRubin(R200)はHBM4メモリを搭載し、2026年後半から2027年前半の出荷が見込まれている。

市場シェアの数値がソースで75〜90%と割れる理由

  • 市場シェアの数値はソースによって75%から90%まで幅がある。定義(出荷台数ベース、売上ベース、推論用途のみ等)が異なるためで、単一の数字を鵜呑みにしないほうがよい
  • CoWoSの60%という数値はMorgan Stanleyの推計であり、TSMC・NVIDIAが公式に開示した数字ではない
  • 売上は公開されているが、データセンター部門の利益率は単体で開示されていない
  • Google(TPU)、Amazon(Trainium)、Meta(MTIAなど)のカスタムAIチップは成長しているが、NVIDIAの汎用GPUとは用途・販売形態が異なり、単純な市場シェア比較は難しい
  • データセンター部門の利益率は加筆時点でも非開示のまま。10-Qが営業利益を開示しているのは「Compute & Networking」「Graphics」という報告セグメント単位で、Data Centerはそれとは別の市場プラットフォーム区分。FY2027 Q1のCompute & Networkingは売上745.5億ドル・営業利益533.4億ドル(71.5%)だが、このセグメント営業利益は株式報酬費用や全社インフラ費用などの未配賦項目を除いた数字で、全社の営業利益率とは直接比較できない。さらにData Center市場プラットフォームの売上752.5億ドルとCompute & Networkingセグメントの745.5億ドルは区分が違うため一致しない
  • 上の粗利率は全社ベースの開示値であり、データセンター製品単体の粗利率ではない
  • 顧客集中も10-Qに記載がある。FY2027 Q1は直接顧客3社がそれぞれ売上の21%・17%・16%(合計54%)を占めた。前年同期は2社で16%・14%だった

訂正(2026年8月14日)

一次資料を読み直したところ、初出時の本文に以下の誤りがあった。元の記述は残したうえで訂正する。

  • 「Q1 FY2027(2025年2-4月期)」 → 正しくは2026年2〜4月期。10-Qの対象期間は2026年1月26日〜2026年4月26日
  • 「データセンター部門が全売上の約91%」 → 通期ベースでは89.7%。10-Kの「Revenue by End Market」(市場別売上)はデータセンターの売上を1,937.4億ドル($193,737M)と直接開示しており、通期売上2,159.4億ドルに対して89.7%。約91%はQ4単独の比率(623億ドル÷681億ドル=91.5%)に近い数字。なお「市場プラットフォーム別売上(Revenue by Market Platform)」という呼称は10-Q(FY2027 Q1)側の区分名で、10-Kの表名(Revenue by End Market)とは異なる
  • 「供給コミットメントは952億ドルに膨らんでおり、前年からほぼ倍増」 → 952億ドルは2026年1月25日時点(FY2026期末)の10-K記載値で、Q1 FY2027決算発表で新たに示された数字ではない。前年(2025年1月26日時点)の対応する開示は308億ドルなので、増加は約3.1倍にあたる。ただし前年の項目名は「在庫購入および長期供給・キャパシティ義務」で、FY2026から開示の区分と名称が変わっているため、単純な同一項目比較ではない

決算数値と市場シェア推計の出所

本記事は2026年6月18日時点の情報に基づく。決算数値はNVIDIA公式発表、市場シェアはSilicon Analysts、TSMC関連はAInvestの報道およびMorgan Stanleyの推計による。円換算は概算(1ドル≒100円換算でタイトルに記載)。本記事は情報提供を目的としたものであり、投資判断等の助言ではない。

重複節の削除と表記の訂正(2026-08-14)

  • 2026-08-14: 「追記分の一次ソース」節を削除(frontmatter sourcesと4件重複、新規情報のFY2025 10-KはURLをfrontmatter sourcesへ移設)。「正直に書くと」節の重複箇条書き2件(ガイダンス実績の再掲、地域別売上定義の再掲)を削除。訂正節のデータセンター比率89.7%の根拠を「10-KのFY2026市場プラットフォーム別売上」から正しい表名「10-Kの『Revenue by End Market』」に修正。粗利率表の出典が実際には2本のNVIDIA公式リリース(FY2026 Q4決算リリース/FY2027 Q1決算リリース)に分かれる旨を明記。3行まとめとL51本文の「約91%」に、通期ベースでは89.7%である旨の注記を追加
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