Apple、OpenAIを提訴──「あらゆる階層で」営業秘密窃取と主張、ハード責任者と元社員も対象に
Appleが7月10日(米国時間)、OpenAIを営業秘密の窃取などで米連邦地裁に提訴した。訴状はOpenAIのハードウェア責任者による「Apple部品持参の面接」や、元社員による1000ページ超の機密文書取得を主張。OpenAIは「他社の営業秘密には関心がない」と否定している。

Appleは米国時間7月10日、OpenAIを営業秘密(トレードシークレット)の窃取などで米カリフォルニア州北部地区連邦地裁に提訴した。複数の米メディアが報じた。訴状は「技術スタッフのメンバーからチーフ・ハードウェア・オフィサーまで、あらゆる階層で」Appleの機密情報が持ち出されたと主張しており、OpenAIのハードウェア部門トップで元Apple幹部のタン・タン(Tang Tan)氏らの行為を具体的に挙げている。OpenAIは疑惑を否定した。※2026年7月12日(日本時間)時点の情報です。
- Appleが7月10日(米国時間)、OpenAIを営業秘密窃取などで北カリフォルニア連邦地裁に提訴。報道によっては、被告にハード子会社io Productsと元Apple社員2名を含むと伝えている
- 訴状は、OpenAIハード責任者が採用面接で「Appleの実部品の持参」を求めた、元社員が退職後も内部ネットワークから未発表製品の技術文書1000ページ超を取得した、などと主張
- OpenAIは「他社の営業秘密には関心がない」と否定。両社は2024年にChatGPT統合で提携した間柄で、2年での法廷入りとなった
何が起きたか
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提訴日 | 2026年7月10日(米国時間金曜) |
| 裁判所 | 米連邦地裁(カリフォルニア州北部地区) |
| 原告 | Apple |
| 被告 | OpenAI(tech-ish等の報道では、io Productsと元Apple社員2名を含む4者) |
| 主な請求 | 営業秘密の使用・開示の差止め、機密資料の返還、証拠の保全(TechCrunch)。損害賠償請求を伝える報道もある |
| 背景 | OpenAIは2025年にJony Ive氏のio Productsを約65億ドルで買収し、ハードウェアへ進出 |
訴状は何を主張しているか
報道が伝える訴状の冒頭は次の通り。
This case is about Apple's former employees stealing Apple's trade secrets for the benefit of OpenAI. Apple brings this suit to put a stop to it.
(本件は、Appleの元従業員がOpenAIの利益のためにAppleの営業秘密を盗んだことに関する訴えである。Appleはそれを止めるために本訴訟を提起する)
訴状の主張は、OpenAIに移籍した元Apple社員2名の行為を軸にしている。いずれも訴状の一方的な主張であり、裁判所が認定した事実ではない点に注意してほしい。
タン・タン氏(OpenAIチーフ・ハードウェア・オフィサー):Appleに24年在籍し、iPhone・Apple Watchのプロダクトデザイン担当バイスプレジデントを務めた人物。訴状は、同氏がApple在籍中の採用候補者に対し、面接に「実際の部品」を持参させて“show and tell”(見せて説明する)セッションを行わせた、Appleの機密プロジェクトのコードネームを採用活動で使った、退職予定者にAppleのセキュリティ手続きの回避方法を指南した、未発表製品の詳細を尋ねた——と主張している。
チャン・リュー(Chang Liu)氏(元Appleシニアシステム電気エンジニア):Appleに8年在籍し、報道によると2026年1月にOpenAIへ移籍。訴状は、同氏が貸与ノートPCを返却せず退職面談も受けなかったうえ、退職後にバグを利用してAppleの内部クラウドストレージへアクセスし続けたと主張する。訴状が引用する元同僚へのメッセージは次の通り。
LOL, I found out I can access the [network storage], so funny.
(笑える、まだ[ネットワークストレージ]にアクセスできるって気づいた、ウケる)
訴状は、同氏が未発表製品に関する技術文書1000ページ超や回路基板の製造情報を含む数十件の機密ファイルをダウンロードしたと主張している。
両社の言い分
Appleは声明で次のように述べた。
Recently, significant evidence has emerged suggesting individuals employed by OpenAI wrongfully took Apple's secret and confidential information regarding our unreleased technologies, processes, and products.
(最近になって、OpenAIに雇用されている個人が、当社の未発表の技術・プロセス・製品に関する秘密情報を不正に持ち出したことを示す重大な証拠が明らかになった)
OpenAIの反論は短い。
We have no interest in other companies' trade secrets. We remain focused on building innovative technology that empowers people everywhere.
(他社の営業秘密には関心がない。私たちは、あらゆる場所の人々をエンパワーする革新的な技術の開発に集中し続ける)
提携から2年で法廷へ──時系列
- 2024年:AppleとOpenAIが提携を発表。Apple IntelligenceにChatGPTが統合される
- 2025年5月:OpenAIが元Appleデザイン責任者Jony Ive氏のio Productsを約65億ドルで買収(報道により64億ドル表記もある)し、ハードウェア開発へ本格進出
- 2026年4月:OpenAIが「アプリではなくAIエージェントを中心に据えたスマートフォン」を開発中との報道
- 2026年7月10日:Appleが提訴
なお、今回の訴訟がApple IntelligenceのChatGPT統合(2024年提携)にどう影響するかについて、両社からの言及は現時点で確認できていない。
報道間で食い違っている点
本稿の執筆にあたり複数の米報道を突合したところ、被告の範囲の記載が媒体間で食い違っていた。TechCrunchは本文で訴訟の相手をOpenAIと記す一方(契約違反の請求は個人を対象とすることを示唆)、tech-ish等はio Productsと元社員2名を含む4者を被告と明記している。損害賠償請求の有無も、記載しない媒体(TechCrunch)と「額は公判で確定」と伝える媒体(tech-ish)に分かれた。訴状の原文は未入手のため、本稿は両論を併記する。速報段階の報道は細部が揺れる——当サイトはその揺れ自体を残しておく方針だ。
出典・但し書き
- 本記事は2026年7月12日(日本時間)時点の報道に基づいています。訴状原文は未確認です
- 訴状の内容はAppleの一方的な主張であり、裁判所が認定した事実ではありません
- io Productsの買収額は報道により「約64億ドル」「約65億ドル」と表記に幅があります
- 被告の範囲・損害賠償請求の有無は報道間で記載が分かれています(本文参照)
- 本記事は続報があり次第更新します
出典:TechCrunch / CNBC / Bloomberg / Fortune / Tech-ish
出典・参照資料
- 二次資料TechCrunch: Apple sues OpenAI over alleged trade secret theft ↗
- 二次資料CNBC: Apple sues OpenAI alleging trade secret theft ↗
- 二次資料Bloomberg: Apple Sues OpenAI for Trade Secret Theft ↗
- 二次資料Fortune: Apple accuses OpenAI, and Jony Ive's io Products firm ↗
- 二次資料Tech-ish: Apple Sues OpenAI and Its Hardware Chief ↗
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