LightricksがLTX-2.5をオープンウェイト公開──HDR ACES対応の動画生成モデルとLTX Studioは別物
Lightricksは2026年8月11日、動画生成モデル「LTX-2.5」をオープンウェイトで公開した。Gemma 4ベースのプロンプト理解、HDR ACES入出力、Hugging Face・ComfyUIへの初日対応など、公式ブログの記載を確認する。同社の制作プラットフォーム「LTX Studio」とは別の、モデル本体の話だ。

目次
Lightricks(イスラエル)は2026年8月11日、動画生成モデル「LTX-2.5」をオープンウェイトで公開したと発表した。同社が運営するモデル横断の制作プラットフォーム「LTX Studio」とは別物で、LTX-2.5はモデル本体(重み)が公開されている点が特徴だ。Wan・HunyuanVideoといった他のオープンウェイト動画モデルと比べると、LTXの知名度は日本語圏でまだ高くない。
3行まとめ
- Lightricksは2026年8月11日、動画生成モデル「LTX-2.5」をオープンウェイトで公開した。Hugging Face・ComfyUIに初日から対応し、LTX API経由のmanaged提供もある。
- ネイティブなマルチショット生成(複数ショットを1つの一貫した出力として生成)に対応。プロンプト理解にはGemma 4ベースのカスタムバックボーンを使用。
- HDR ACESの入出力に対応し、16bit linear EXRをレンジを保ったまま扱える。加えてarXiv技術レポートによると、土台のLTX-2は動画(14Bパラメータ)と音声(5Bパラメータ)を同時生成する統合モデルで、単なる「動画生成モデル」の枠を超えている。Hugging Face上のダウンロード数は104万超(2026年8月29日確認)。
何が公開されたのか
公式ブログ「The Foundation Film Is Made On」によると、LTX-2.5はオープンウェイトで公開された動画生成モデルだ。Hugging Face・ComfyUIに初日から対応しており、実際にHugging Face上では派生リポジトリ(Abiray/LTX-2.5-Distilled-GGUF、作成日2026年8月12日、comfyicu/LTX-2.5、作成日2026年8月13日)が確認でき、コミュニティでの実在・利用が裏付けられる。LTX API経由のmanaged提供(自前でGPUを用意せずAPI経由で使う形態)も用意されている。
Hugging Face公式モデルページ(Lightricks/LTX-2.5)をAPI経由で確認したところ、次の状態だった(確認日: 2026年8月29日)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ダウンロード数 | 1,293,463 |
| いいね数 | 2,693 |
| 最終更新日 | 2026年9月1日 |
| ライセンス | ltx-2.x-community-license-agreement(独自のコミュニティライセンス。MIT・Apache等の一般的なオープンソースライセンスではない) |
| 対応言語(プロンプト) | 英・独・西・仏・日本語・韓・中・伊・葡の9言語 |
| 対応タスク | テキスト/画像/動画→動画に加え、テキスト/画像→音声・音声→動画など音声関連タスクも多数 |
ライセンスが独自の「コミュニティライセンス」である点は、「オープンウェイト」を名乗るモデルでも再配布・商用利用の条件が一般的なオープンソースライセンスとは異なりうることを示す一例で、実際に利用する場合はライセンス文面自体の確認が必要になる。
技術的な特徴
ブログが挙げる技術的な特徴は次の3点だ。
- ネイティブなマルチショット生成: 複数のショットを1つの一貫した出力として生成できる。動画編集で言う「カット割り」を、生成段階から一貫性を保ったまま扱える設計とみられる
- Gemma 4ベースのプロンプト理解: プロンプトの解釈にGoogleのオープンウェイトモデルGemma 4をベースにしたカスタムバックボーンを使用している
- HDR ACES対応: 16bit linear EXRという、映像制作の現場で使われる高精度なファイル形式を、レンジ(明暗の情報量)を保ったまま入出力できる
「動画生成モデル」ではなく「音声・映像統合モデル」だった
LTX公式ブログの記載だけでは分かりにくいが、Hugging Face上のモデルページとarXivの技術レポートを確認すると、LTX-2.5の土台であるLTX-2は、動画だけでなく音声も同時に生成する統合モデルだと分かる。
arXiv:2601.03233「LTX-2: Efficient Joint Audio-Visual Foundation Model」のAbstractによると、LTX-2は「非対称なデュアルストリーム・トランスフォーマー」構成で、動画ストリームが140億(14B)パラメータ、音声ストリームが50億(5B)パラメータという設計になっている。双方向の音声・動画クロスアテンション層で結合されており、単に動画に後から音を足すのではなく、キャラクター・環境・スタイル・感情に応じた音声トラック(自然な背景音・効果音を含む)を、動画と同時に一貫して生成できるとしている。Abstractは「オープンソースのシステムの中では最先端の音声・映像品質とプロンプト追従性を達成し、商用の非公開モデルに匹敵する結果を、その計算コスト・推論時間のごく一部で実現する」と主張している(自社発表の評価であり、第三者による検証は本記事では確認できていない)。
Hugging Face上のモデルカード(Lightricks/LTX-2.5)でも、対応タスクのタグにtext-to-audio・audio-to-video・video-to-audio・text-to-audio-videoなど、音声関連のタスクが多数含まれていることを確認した。LTX公式ブログ本文がHDR ACES対応などの映像面を前面に出しているのに対し、モデルカードと技術レポートを直接確認しないと、この「音声も生成できる」という性格までは分かりにくい構成になっている。
対象読者はやや狭い
ACES(Academy Color Encoding System)やEXRといった用語は、映像制作・カラーグレーディングの実務に携わる層には馴染み深いが、一般的なAI動画生成の利用者にとってはやや専門的だ。この機能は、生成した動画を本格的なポストプロダクション工程に載せることを想定した層に向けたものであり、対象読者は他のAI動画ニュースと比べてやや狭いといえる。
LTX Studioとの違い
自サイトには既に「LTX Studioとは」という記事があり、Lightricks社が運営する制作プラットフォーム(自社のLTX-2に加え、VEO 3.1・Kling・Seedance等の他社モデルも呼び出せるスタジオ型サービス)を扱っている。今回のLTX-2.5は、そのLTX Studioが使う自社モデルの新しいバージョンであり、オープンウェイトとして単体で公開された点が今回のニュースの核心だ。プラットフォーム(LTX Studio)とモデル本体(LTX-2.5)は別のレイヤーの話であり、混同しないよう整理しておく必要がある。
関連する動き
8月9日にはSDR→HDR変換機能、8月19日にはLTX Exploreという機能も公開されたとみられる(本記事ではLTX-2.5本体の発表を中心に扱っており、これらの周辺機能の詳細までは確認していない)。
ltx.studioは404、正しいドメインはltx.io
- 本記事はLTX公式ブログ、Hugging Face公式モデルページ(API経由)、arXivの技術レポート、コミュニティ派生リポジトリの4つを一次資料として直接確認した。ただしLTX-2.5の実際の生成品質・速度についての第三者評価・自社での試用は、本記事では行っていない。
- 「ltx.studio」ドメインでの同記事アクセスは404となり、正しいURLは「ltx.io」だった。旧ドメインと新ドメインが混在している可能性があり、リンク切れには注意が必要。
- HDR ACES対応の実際の運用フロー(具体的にどのソフトウェアと組み合わせて使うか等)についての詳細は、本記事のソースからは確認できていない。
- LTX StudioとLTX-2.5の関係(LTX Studio上でLTX-2.5がいつから使えるようになるか等)についての具体的なタイムラインは、本記事では確認していない。
ltx-2.x-community-license-agreementという独自ライセンスについては、Hugging Faceのモデルページ本文に「年商1,000万ドル未満なら商用・本番利用も無償、超える場合はLTX-2.x向けの有償商用利用契約が必要」という要約条項が載っていることは確認した。ただしGitHub上のライセンス全文の細部(再配布条件・派生モデルの扱い等)までは読み込んでいない。- arXiv論文が主張する「オープンソースシステムの中で最先端」「商用モデルに匹敵」という評価は、Lightricks自身(論文著者)による発表であり、独立した第三者ベンチマークでの裏付けは本記事では確認できていない。
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