Grok Imagineの「エージェントモード」とは──1本の動画を単発プロンプトでなく「プロジェクト」として作る
xAIが2026年5月2日、Grok 4.3の発表と同時に、Grok Imagineの新機能「Agent Mode」をベータ公開した。単発の指示で画像・動画を生成するのではなく、AIエージェントが1分間の映像や漫画セットのような長めの創作プロジェクトを計画・生成・編集・修正まで一貫して担う。The Decoder紙の報道をもとに、分かっている範囲を整理する。

目次
動画生成AIの多くは、いまだに「1つのプロンプト→1つのクリップ」という単発のやり取りが基本だ。xAIが2026年5月2日、Grok 4.3の発表と同時に投入したGrok Imagineの新機能「Agent Mode」は、この単位を「プロジェクト」に広げようとしている。ドイツのAI専門メディアThe Decoder(Matthias Bastian記者)の報道をもとに、確認できる内容を整理する。
何が発表されたか
The Decoderの記事によれば、xAIはGrok 4.3のリリースと合わせて、Grok Imagine向けの「Agent Mode」をGrokウェブインターフェース上でベータ公開した。単発のプロンプトで完結させるのではなく、より長い創作プロジェクトを扱うモードだという。
"xAI also released Agent Mode for Grok Imagine, now in beta on the Grok web interface. Rather than running off single prompts, the mode handles longer creative projects. An AI agent plans, generates, edits, and revises content in an open workspace, which xAI says works for things like a one-minute movie, a manga set, or product stories."
AIエージェントが、オープンなワークスペースの中でコンテンツを計画・生成・編集・修正する。xAIによれば、1分間の映画、漫画のセット、プロダクトストーリーといった用途で機能するという。
利用条件
The Decoderの記事によれば、Agent ModeはGrokのウェブインターフェースからアクセスでき、入力欄の左下でオンに切り替えられる。利用には有料アカウントが必要とされている。
2026年8月29日時点、Agent Modeはまだベータのまま稼働している
grok.com/imagineを直接開いて確認したところ、2026年8月29日時点でもAgent Modeは実際に画面上で提供されており、ページの初期設定データ(アプリの構成情報)には次の案内文が埋め込まれていた。
"Introducing Imagine Agent Mode (Beta)" / "Brainstorm with your agent, generate and edit images, then turn them into videos, and stitch videos together to create longer videos all in one place."
(訳: 「Imagine Agent Mode(ベータ版)のご紹介」/「エージェントとブレインストーミングし、画像を生成・編集して動画に変換し、動画同士をつなぎ合わせてより長い動画を作る──それをすべて1つの場所で。」)
同じ構成情報には、Agent Modeが内部的に使用するモデル名としてimagine-agent-mode-grok-4-5という記載があった。The Decoderが報じた発表当初(2026年5月)はGrok 4.3と同時発表されていたが、本記事執筆時点でAgent Modeの裏側は少なくとも表示上「Grok 4.5」系のモデル名に更新されていることになる。この変更がいつ行われたか、機能・性能にどう影響したかについては、本記事のソースからは確認できていない。
なお、xAIの開発者向けドキュメントを2026年8月29日時点で確認すると、チャット用モデルの最新版はすでに「Grok 4.6」に進んでおり、案内ページには画像生成に「Grok Imagine Image 2.0」、動画生成に「Grok Imagine Video 1.5」という現行製品名が記載されている。Grok 4.3自体はこの時点で「最新モデル」の位置からは外れており、記事が扱っている2026年5月時点の発表内容と、2026年8月末の製品ラインナップとの間には数世代分の差があることを明記しておく。
同時発表されたGrok 4.3の概要
Agent Modeは単独の発表ではなく、テキストモデルGrok 4.3のリリースに付随する形で発表された。The Decoderの記事によれば、Grok 4.3は開発者・企業向けに設計されたモデルで、Web検索・X検索・Pythonコード実行・ファイル検索(RAG)を自律的にこなし、Excel・PDF・PowerPointファイルの生成もできる。処理速度は毎秒100トークン、コンテキスト窓は100万トークン、料金は入力100万トークンあたり$1.25・出力$2.50、知識カットオフは2025年12月とされている。
独立したベンチマークサービスArtificial Analysisによれば、Grok 4.3はIntelligence Indexで53点を記録し、前モデルGrok 4.20から4点向上した一方、OpenAI・Anthropicのフラッグシップモデルには及ばないという評価だった。ベンチマーク実施コストは$395で、GPT-5.5の$3,959と比べて約10分の1に収まる、いわゆる「パレートフロンティア(性能とコストのバランスが良い領域)」に位置づけられている。
xAIの開発者向けドキュメント(docs.x.ai)に埋め込まれたモデル仕様データを確認すると、Grok 4.3の技術仕様は次の通りだった。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 入力料金(短文脈) | $1.25 / 100万トークン |
| 出力料金(短文脈) | $2.50 / 100万トークン |
| 長文脈の閾値 | 20万トークン超で長文脈料金に切り替わる |
| 入力料金(長文脈) | $2.50 / 100万トークン |
| 出力料金(長文脈) | $5.00 / 100万トークン |
| 最大プロンプト長 | 100万トークン |
| レート制限 | 37リクエスト/秒、1,800リクエスト/分、1,000万トークン/分 |
| 対応機能 | 関数呼び出し(Function Calling)、構造化出力、推論(reasoning effortはnone/low/medium/high/xhighから選択可) |
| バッチ処理割引 | 20% |
記事本文の「入力$1.25・出力$2.50」というThe Decoder記事の数字は、この短文脈料金と一致していた。ただし20万トークンを超える長文脈利用では料金が2倍になる点は、The Decoderの記事にもxAI公式ブログにも明記がなく、本記事でxAI開発者向けドキュメントを直接確認して初めて分かった情報だ。
The Decoderの記事は他のベンチマーク結果も報じている。実務寄りのタスクを測る「GDPval-AA」というベンチマークでは、Grok 4.3のElo(相対的な強さを表す指標)が321ポイント上昇して1,500に到達し、GoogleのGemini 3.1を上回った一方、OpenAIのGPT-5.5には276ポイントの差で及ばなかったという。また、Grok 4.3では推論(reasoning)が既定で有効化されており、あらゆるリクエストに対してモデルが応答前に「思考」する仕様に変わった点も報じられている。推論トークンも通常の出力トークンと同じ単価で課金される。Intelligence Indexの点数についても、Muse SparkやClaude Sonnet 4.6をわずかに上回るという記述があった。モデルはOpenRouter、xAI API、Hermesエージェント経由で利用できるという。
一方でThe Decoderの記事は弱点も報じている。スナック自動販売機をAIモデルに運営させる評価を行っているAndon Labsは、Grok 4.3が自律的なエージェントタスクで行動を起こさず何日も待機し続ける「ナルコレプシー的な問題」を指摘した。また、コーディングと数学のベンチマークを手がけるVal's AIは、Grok 4.3がCaseLaw・CorpFinの分野で1位を獲得した一方、一般的なコーディングやより難しい数学の問題では13位にとどまったと評価している。
Grok Imagineの現行API料金(2026年8月29日時点で確認できた数字)
Agent Mode自体の料金は本記事のソースからは分からなかったが、xAIの開発者向け料金ページ(docs.x.ai/developers/pricing)を2026年8月29日に直接確認したところ、Grok Imagineの画像・動画生成モデルをAPI経由で使う場合の単価は公開されていた。ページに埋め込まれた料金データ(1トークン・1画像・1秒あたりの単価を表す内部単位)を、記事本文で確認済みのGrok 4.3の価格(入力$1.25/100万トークン=内部値12500)と突き合わせて換算倍率を検算し、そのうえで次の数字を算出した。
| モデル | 条件 | 価格 |
|---|---|---|
| grok-imagine-image(v1) | 1枚あたり | $0.02 |
| grok-imagine-image-2.0 | 1K・品質low | $0.04 / 枚 |
| grok-imagine-image-2.0 | 2K・品質low | $0.06 / 枚 |
| grok-imagine-image-2.0 | 1K・品質medium | $0.06 / 枚 |
| grok-imagine-image-2.0 | 2K・品質medium | $0.08 / 枚 |
| grok-imagine-image-quality(Pro) | 1K | $0.05 / 枚 |
| grok-imagine-image-quality(Pro) | 2K | $0.07 / 枚 |
| grok-imagine-video(旧モデル) | 480p | $0.05 / 秒 |
| grok-imagine-video(旧モデル) | 720p | $0.07 / 秒 |
| grok-imagine-video-1.5 | 480p | $0.08 / 秒 |
| grok-imagine-video-1.5 | 720p | $0.14 / 秒 |
| grok-imagine-video-1.5 | 1080p | $0.25 / 秒 |
grok.com/imagineのトップページで案内されていた「Starting at $0.02 / image」「Starting at $0.05 / sec」という表示は、この表でいう最も安いモデル(旧世代のimageモデル、旧世代のvideoモデルの480p)の価格と一致していた。ただし、これはあくまでAPIとして単体で画像・動画を生成した場合の単価であり、Agent Modeが1プロジェクトの中で何回の生成・編集を行い、合計でいくら消費するのかを示す数字ではない。Agent Mode自体の課金方式(従量課金なのか、有料プラン内の使い放題なのか)は、本記事のソースからは確認できなかった。
Agent Mode自体の料金・生成上限は結局分からなかった
- xAI自身による公式な機能発表ページ(プレスリリース・公式ブログ記事)は、本記事執筆時点で確認できていない。
grok.comのアプリ構成データとdocs.x.aiのモデル仕様データは直接確認できたが、いずれも「発表文」の形では書かれておらず、The Decoderが報じた発表の経緯そのものを裏取りする一次資料としては不十分だった。 - Agent Modeの具体的な料金体系(動画の長さ・解像度あたりのコストなど)、生成できる動画の最大長・最大解像度、対応言語(日本語プロンプトへの対応度)についての詳細は、本記事のソースには含まれていなかった。
- 「1分間の映画」「漫画セット」「プロダクトストーリー」といった用途例は、xAI側の説明としてThe Decoderが伝えているものであり、実際にAgent Modeで生成された作品の品質・実用性についての第三者レビューは、本記事では確認していない。
- Grok 4.3自体のベンチマーク評価には、コーディング・数学のより難しい問題での順位が低いという指摘(Val's AIによる評価)や、自律的なエージェントタスクでの停滞(Andon Labsの評価)も同じ記事内で報じられている。Agent Mode自体がこうした弱点の影響を受けるかどうかは、本記事のソースからは判断できない。
- 動画生成AI全般の選び方についてはAI動画編集ツール比較、他社の動画生成AIについてはRunway料金・使い方ガイド、Sora料金・代替ツール比較も参照してほしい。
出典・参照資料
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