2026年9月11日 金曜日
AI時短ラボ
モデル· 約12

Claude Fable 5 完全ガイド ― 何が強く、何がブロックされ、いくらかかるのか

AnthropicがOpus 4.8からわずか12日で投入した「Mythos級を一般開放した」モデル、Claude Fable 5。ベンチマーク15項目・Stripeの5000万行移行事例・3つの内蔵分類器という安全設計を、発表資料を一次ソースから整理した。料金・アクセス条件は2026年6月時点のもので、7月20日のプラン体系変更後は続報記事を参照。当サイトは実際に検証動画3本ぶんのテストを実施済み。

Claude Fable 5 完全ガイド ― 何が強く、何がブロックされ、いくらかかるのか
執筆・編集:実機検証
目次

3行まとめ

  1. Fable 5は「Mythos級の頭脳に安全装置を付けて一般開放した」モデル。コーディング・長時間の自律タスク・空間推論でOpus 4.8とGPT-5.5を広く上回る
  2. 安全設計が構造的に変わった。拒否ではなく、危険な話題だけOpus 4.8に切り替わるフォールバック方式(発動は平均5%未満のセッション)
  3. API価格は入力$10/出力$50(100万トークンあたり)でOpusの2倍。2026年6月時点は段階展開中でPro/Maxプランに追加料金なしだったが、2026年7月20日にプラン体系が変わっている(現行条件

何が出たのか ― Fable 5とMythos 5は二卵性双生児

Anthropicは2026年6月9日、「Claude Fable 5」と「Claude Mythos 5」を同時発表した。Opus 4.8(2026年5月28日リリース)からわずか12日後の投入である。

2つのモデルの中身は同じだ。違いは安全装置だけ。

  • Fable 5: 一般ユーザーが使える方。サイバー攻撃・生物化学兵器・蒸留(他社AIによる回答の大量収集)を検知する3つの分類器を内蔵し、該当する話題ではOpus 4.8に処理を切り替える
  • Mythos 5: 正規のサイバーセキュリティ研究機関など向けに、一部の安全装置を外した方。米政府と連携した招待制プログラム「Project Glasswing」限定で提供される

つまり一般人が触れる「Anthropic史上最高性能のモデル」はFable 5ということになる。

ベンチマーク ― どこが強いのか

公式発表のベンチマークから、差が大きかった項目を抜粋する(いずれもAnthropic公表値。比較対象はOpus 4.8 / GPT-5.5 / Gemini 3.1 Pro)。

Fable 5 ベンチマーク比較表

領域 ベンチマーク Fable 5 比較
実コード修正 SWE-Bench Pro 80.3% GPT-5.5(58.6%)に21pt差
難関コーディング FrontierCode Diamond 29.3% GPT-5.5(5.7%)の5倍超
ターミナル自律操作 Terminal-Bench 2.1 88.0% Codex CLI(83.4%)を逆転
PC自律操作 Computer use 85.0% GPT-5.5(78.7%)+6pt
空間推論 Blueprint-Bench 2 38.6% Opus 4.8(14.5%)の2.6倍
法律エージェント Legal Agent 13.3% GPT-5.5(2.1%)の6倍
医療 HealthBench Professional 66.0% GPT-5.5は51.8%
総合難問 Humanity's Last Exam(ツールあり) 64.5% GPT-5.5は52.2%

なお、日本のSakana AIは自社のマルチエージェント・オーケストレーションシステム「Fugu」がSWE Bench ProでOpus 4.8(69.2%)を上回る73.7%を記録したと発表している。ただしSakana自身の資料でも、Fable 5のスコア(80.0%)には及ばないと位置づけられており、Fable 5はFuguの比較対象からも「一般にアクセスできない」上位モデルとして除外されている(詳細はSakana AIの「Fugu」ベンチマーク記事を参照)。

個別の数字より重要なのは傾向だ。公式発表は「タスクが長く複雑になるほど、他モデルとの差が開く」と説明しており、コストをかけた時の伸び方にもそれが現れている。

コストをかけた時の性能の伸び(FrontierCode)

GPT-5.5はコストを増やしても精度がほぼ横ばい、Opus 4.8は途中で頭打ちになるのに対し、Fable 5だけがコストに比例して伸び続ける——「考えさせるほど強い」型のモデルだ。

実事例 ― Stripeの5000万行移行

ベンチマークより生々しいのが実事例だ。公式発表によれば、決済大手のStripeが5000万行のRubyコードベースを全面移行するのにFable 5を使い、「手作業ならチームで2ヶ月以上かかる作業を、わずか1日でやってのけた」という(原文: a codebase-wide migration in a day that would otherwise have taken a whole team over two months by hand)。

もうひとつ面白いのがゲームの事例で、カードゲーム「Slay the Spire」をファイルに記憶を書き込みながらプレイさせたところ、記憶の付与による性能の向上幅がOpus 4.8の3倍だった。長期タスクで「自分用のメモを取りながら作業する」挙動は、実務の長時間エージェント運用にそのまま効く性質だ。

安全性 ― 「拒否するAI」から「切り替わるAI」へ

5シリーズで構造的に変わったのがここだ。

これまでの安全設計は「危険な依頼を拒否する」方式で、その副作用として普通の依頼まで断る過剰拒否が問題になってきた。Fable 5/Mythos 5では方式そのものが変わっている。なおアライメント評価について、公式発表は「Mythos 5の誤動作(misaligned behaviors)の水準は低く、Opus 4.8と同程度」「Fable 5のアライメント水準も同様になる」と説明している(本文に具体的な数値の記載はない)。

誤動作(misaligned behaviors)評価

仕組みが違う。Fable 5は危険な話題を3つの内蔵分類器(サイバー攻撃/生物・化学/蒸留防止)で検知すると、拒否する代わりにOpus 4.8に切り替えて応答する。公式発表には「95%以上のセッションではフォールバックが一切発生しない」と明記されている。

実際、サイバー攻撃タスクの成功率テストでFable 5は全テストでゼロ(完全ブロック)。同じ中身のMythos 5はCyberGymで83.8%を出しており、安全装置の有無で全く別のモデルになることが分かる。

料金とアクセス

⚠️ 以下は2026年6月11日(本記事執筆時点)の条件です。その後、無料期間の延長が繰り返された末、2026年7月20日にプラン体系そのものが変わりました。現行条件は「Claude Fable 5、7月20日からMax・Team Premiumの標準搭載に」を参照してください(要点:Max・Team Premiumは週次枠50%で標準搭載・追加課金なし、Pro・Team Standardは使用量クレジット制へ移行・1回限り$100クレジット配布)。

料金表

  • API: 入力$10/出力$50(100万トークンあたり)。Opus 4.8の2倍だが、Mythosプレビュー比では50%以上の値下げ。モデルIDは claude-fable-5
  • claude.ai: 段階展開中はPro/Maxプランで追加料金なし(2026年6月11日時点)。モデル選択で「Fable 5」を選ぶだけ
  • ⚠️ 公式発表によれば、当時の想定では追加料金なしは6月22日までで、6月23日以降の利用には使用クレジット(usage credits)が必要になるとされていた。実際にはこの期限は7/1・7/7・7/12・7/19と繰り返し延長され、最終的に7月20日のプラン体系変更に置き換わった
  • データポリシー: Mythosクラスのトラフィック(Fable 5 / Mythos 5)には30日間の保持ポリシーが適用される(2026年6月時点。7月20日以降の変更有無は本記事では未確認)

当サイトの検証 ― 数字にならない変化

当ラボはリリース当日から実際にFable 5でテストを行い、検証動画を3本公開している。ベンチマークに出ない所感を2つだけ。

  1. 文字制御系のタスク(文字数指定・縦読み・リポグラム・回文)の比較テストでは、Fable 5はタスクの「意図」まで読む挙動を見せた。リポグラムのテスト中に「これは動画コンテンツになりますよ」とテストの目的自体を言い当ててきたのが象徴的だった
  2. 意図汲みの精度が体感で最も変わった。曖昧な依頼から先回りして成果物を作る挙動は、4.8までとは別物だと感じている(これは体感であり、定量評価ではない)

ゲーム制作という具体的なタスクにFable 5だけでどこまで任せられるかは、人間のコード0行でマインクラフト風ゲームを作らせた検証記録に詳しくまとめている。

正直な注意点

  • ベンチマークは全てAnthropic自社測定で、独立検証はこれから。発表直後の数字は変動・訂正がありうる
  • 「Opus 4.8の2倍」のAPI価格は、軽いタスクには明確に過剰。使い分けが前提のモデルだ
  • 本記事の料金条件は執筆時点(2026年6月11日)のもの。2026年7月20日にプラン体系が変わっており、現行条件は7月20日の変更記事で確認すること

まとめ ― 誰が乗り換えるべきか

  • 長時間の自律タスク・大規模コード・エージェント運用をする人: 乗り換える価値が最も大きい。差が出るのはまさにこの領域
  • 日常の軽い質問・下書きが中心の人: 急がなくていい。Pro/Maxの無料期間中に手元のタスクで試して、体感差があるかだけ確認しておくのが合理的
  • 安全装置が業務に干渉しないか不安な人: フォールバック発動は平均5%未満。まず通常業務で発動するか試せばいい

当ラボの検証は動画でも公開している。続報・実測はこのサイトで追っていく。

検証環境: claude.ai Pro / 2026年6月9日〜実施。ベンチマーク数値はAnthropic公式発表の公表値、事例は同発表の記載にもとづく。

料金表の画像を差し替えた理由

  • 2026-08-14: 料金表の画像に「※Claude Fable は The Information リーク価格・確定値ではない」という但し書きが焼き込まれたままだったため画像を作り直した。Anthropic公式の料金ページで「Fable 5 … Input $10/MTok, Output $50/MTok」を確認済み(同日)。あわせて画像内のモデル名を「Claude Fable」→「Claude Fable 5」に修正
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出典・参照資料

更新・訂正履歴

  • Claude Opus 4.8の公開日(2026年5月28日・当サイト内記事で確認)とFable 5の発表日(2026年6月9日・Anthropic公式発表で確認)の日数差は12日であり、本文とexcerptの「13日」は誤りだったため訂正した。
  • 『料金とアクセス』節が『追加料金なしは6月22日まで、6月23日以降はクレジットが必要』という2026年6月時点の条件のみを載せ、『完全ガイド/保存版』を名乗る記事として止まっていた。実際には無料期間の延長が7/1・7/7・7/12・7/19と繰り返された末、2026年7月20日にプラン体系そのものが変わり、Max・Team Premiumは標準搭載(週次枠50%・追加課金なし、終了日の記載なし)、Pro・Team Standardは使用量クレジット制(1回限り$100クレジット配布)になった(当サイト続報記事`claude-fable5-standard-july20`、出典:Claude公式X 2026年7月18日投稿で確認)。料金節の冒頭にこの事実と現行条件への注記を追加した。
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