2026年8月28日 金曜日
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使っていたAIモデルが消える日──提供終了スケジュールの読み方と、乗り換えコストを織り込んだ選び方

Anthropic・OpenAI・Googleは、それぞれ提供終了(deprecation)の専用ページで最低通知期間を明文化しています。Anthropicは公開モデルで最低60日、OpenAIはGAモデルで最低6ヶ月・preview版は「2週間などさらに短い通知になることもある」と明記、Googleはpreview版で最低2週間。2026年8月27日に3社の公式ページを開いて確認した終了日と、乗り換えコストを織り込むためのチェック項目をまとめました。

使っていたAIモデルが消える日──提供終了スケジュールの読み方と、乗り換えコストを織り込んだ選び方
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目次

AIモデルには終了日があります。しかもその日付は、隠されているどころか、Anthropic・OpenAI・Googleの3社とも専用の公式ページで一覧公開されています。この記事では、2026年8月27日にその3ページを実際に開いて確認できた内容だけを使い、(1)3社が「消える」をどう定義しているか、(2)通知から停止まで最低何日あると明文化されているか、(3)2026年8月末から2027年5月にかけて実際に止まる予定のもの、(4)乗り換えコストを見積もるために何を確認すればいいか、を整理します。新モデルの発表を追う記事は多くありますが、ここでは「終わる側」のスケジュールだけを扱います。

  • 最低通知期間は3社で違う。Anthropicは公開モデルで最低60日、OpenAIはGAモデルで最低6ヶ月・特化バリアントで最低3ヶ月・preview版は「2週間程度もあり得る」、Googleはpreview版で最低2週間
  • Anthropicの公式表から通知日と停止日の差を計算すると、直近4件(Haiku 3.5 / Haiku 3 / Sonnet 4・Opus 4 / Opus 4.1)は60〜62日。2025年前半のOpus 3(189日)やClaude 2系(181日)より短い
  • 2026年9月24日にOpenAIのVideos APIとsora-2系が停止予定。公式表の「推奨代替」欄は---で、代替モデルが記載されていない

3社は「消える」をどう定義しているか

同じ「提供終了」でも、状態の呼び方と粒度が3社で異なります。各社の公式ドキュメントに書かれている定義は次のとおりです。

会社 状態の呼び分け 完全に使えなくなる状態の呼称
Anthropic Active / Legacy / Deprecated / Retired の4段階 Retired(「Retiredモデルへのリクエストは失敗する」と明記)
OpenAI legacy(更新停止の予告)→ deprecated(終了プロセス開始) shut down(「sunset と shut down は同義で使う」と明記)
Google(Gemini API) stable / preview / latest / experimental のバージョン種別+deprecation shutdown(「完全にオフになり、エンドポイントが利用不可になる」)

注意したいのは、AnthropicとOpenAIがどちらも「Legacy(レガシー)」という中間状態を持っている点です。ただし断定の強さに差があります。OpenAIは「プラットフォームとしての移行方向を示すタグで、いずれdeprecatedになると考えてよい」と言い切るのに対し、Anthropicは「更新を受け取らなくなり、将来Deprecatedになる可能性がある」と、あくまで可能性としての書き方にとどめています。

通知から停止まで、最低何日あると書かれているか

3社とも最低通知期間を文章で明文化しています。ここが乗り換え計画の土台になります。

会社 対象 明文化されている最低通知期間
Anthropic 公開リリース済みモデル 最低60日
OpenAI GA(一般提供)モデル 最低6ヶ月
OpenAI 特化バリアント(gpt-5.1-chat-latestgpt-5.3-codexo3-deep-researchなど) 最低3ヶ月
OpenAI モデル名にpreviewを含むもの 「2週間など、はるかに短い通知で終了することがある」
Google previewモデル 最低2週間
Google latestエイリアスの破壊的変更 変更前に2週間のメール通知

OpenAIはpreview版について「短期間で移行できる体制がない限り、business-criticalな本番ワークロードにpreviewモデルを使うことは推奨しない」と明記しています。またOpenAIは、安全性またはコンプライアンス上の懸念がある場合はこの期間を短縮しうる、という例外条項を置いています(Anthropic・Googleの公式ページには同様の例外条項は見当たりませんでした)。最低通知期間は契約上の保証ではなく、通常時の運用方針として読む必要があります。

Anthropicの実績を数えると、猶予は下限に寄っている

Anthropicの公式ページには2024年からの終了履歴が、通知日と停止日つきで残っています。その2つの日付の差を数えたのが次の表です(計算はこの記事側で行いました)。

通知日 対象 停止日 通知から停止まで
2024-09-04 Claude 1 / Instant 2024-11-06 63日
2025-01-21 Claude 2 / 2.1 / Sonnet 3 2025-07-21 181日
2025-06-30 Opus 3 2026-01-05 189日
2025-08-13 Sonnet 3.5(2種) 2025-10-28 76日
2025-10-28 Sonnet 3.7 2026-02-19 114日
2025-12-19 Haiku 3.5 2026-02-19 62日
2026-02-19 Haiku 3 2026-04-20 60日
2026-04-14 Sonnet 4 / Opus 4 2026-06-15 62日
2026-06-05 Opus 4.1 2026-08-05 61日

直近4件は60〜62日、つまり公称の最低ラインとほぼ同じ長さです。2025年前半の181日・189日と比べると短く見えますが、最古の2024年09月の事例(Claude 1 / Instant)も63日で、こちらは短縮どころか最初から下限に近い長さでした。つまり9件の履歴は「一貫して短縮してきた」という一本道の物語にはならず、期間の長さは案件ごとにばらついています。Anthropicが期間短縮を宣言したわけでもないため、今後も60日で来るとは限らない、という前提で見るべき数字です。

なお現行モデルの終了日は、Anthropicの表では「Not sooner than(この日より早くはならない)」という書き方になっています。たとえばclaude-sonnet-4-5-20250929は2026年9月29日より早くは終了しない、claude-haiku-4-5-20251001は2026年10月15日より早くはならない、といった具合です。これは予定日ではなく下限日です。

2026年8月末〜2027年5月に止まる予定のもの

3社の公式ページに掲載されている、この記事の執筆時点(2026年8月27日)から先の停止予定を時系列に並べます。

停止予定日(節目日) 会社 対象 公式の推奨代替
2026-08-31 Google gemini-robotics-er-1.6-preview gemini-robotics-er-2-preview
2026-09-24 OpenAI Videos API、sora-2sora-2-pro、各スナップショット 表の代替欄は---
2026-09-28 OpenAI gpt-3.5-turbo-instructbabbage-002davinci-002gpt-3.5-turbo-1106 gpt-5.6-terra
2026-09-29以降 Anthropic claude-sonnet-4-5-20250929(最早日)
2026-10-02 Google gemini-2.5-flash-image gemini-3.1-flash-image-preview
2026-10-15以降 Anthropic claude-haiku-4-5-20251001(最早日)
2026-10-23 OpenAI gpt-4-0613gpt-4-turbogpt-4o-2024-05-13o1o3-minio4-minigpt-image-1gpt-3.5-turbo-0125ほか、およびそれらのファインチューニング版 gpt-5.6-sol / terra / luna など
2026-10-31(既存evalsが読み取り専用化) OpenAI Evalsプラットフォーム
2026-11-24以降 Anthropic claude-opus-4-5-20251101(最早日)
2026-11-30(Evals本体のshut down) OpenAI v1/prompts API・再利用可能プロンプト、Evalsダッシュボード/API、Agent Builder プロンプトはアプリ側コードへ移動、Agent BuilderはAgents SDK等へ
2026-12-01 OpenAI gpt-image-1-minigpt-image-1.5chatgpt-image-latest gpt-image-2
2026-12-11 OpenAI gpt-5-2025-08-07gpt-5-mini-2025-08-07gpt-5-nano-2025-08-07gpt-5-pro-2025-10-06o3-2025-04-16o3-pro-2025-06-10 gpt-5.6-sol / terra / luna
2027-01-06 OpenAI 既存顧客も新規ファインチューニングジョブの作成が不可に
2027-01-20 OpenAI レガシー音声・リアルタイム・文字起こし系(gpt-realtimegpt-audiogpt-4o-audioほか) gpt-realtime-2.1gpt-audio-1.5など
2027-05-07 Google gemini-3.1-flash-lite gemini-3.5-flash-lite

2026年9月24日のsora-2系の行は、公式表の推奨代替欄が---のままです。代替モデルの提示なしに停止予定が出ているケースがある、という事実は移行計画上そのまま受け止めるしかありません。またGoogleのVeo系(veo-3.0-generate-001など、2026年6月30日停止)では、推奨代替欄に「veo-3.1-generate-preview または Gemini Enterprise Agent Platform上のGA(正式版)モデル」の両方が併記されています。つまりpreview版とGA版のどちらに移るかは案内の中に選択肢として含まれており、正式版からpreview版へ一方的に移る、という単純な話ではありません。

なおGoogleの終了日には、リリースからちょうど12ヶ月というものが複数あります(gemini-2.5-flash-imageは2025年10月2日リリース→2026年10月2日停止、gemini-3.1-flash-liteは2026年5月7日リリース→2027年5月7日停止)。一方でgemini-embedding-001は2025年7月14日リリースに対し停止予定が2028年5月14日と長く取られており、モデル種別によって扱いが違うことがうかがえます。

消えるのはモデルだけではない

終了対象はモデルIDに限りません。3社の公式ページを見ると、少なくとも次の3種類が同じ枠組みで扱われています。

パラメータ:Anthropicはtemperaturetop_ptop_kをClaude Opus 4.7以降で非推奨とし、これらのモデルで既定値以外を設定すると400エラーを返すと明記しています。さらにAnthropic公式ドキュメントには、Python SDK v1.0以降ではこれらのパラメータ自体が削除され、渡すとTypeErrorになると書かれています。Googleも2026年7月21日のリリースノートで同じ3パラメータの非推奨を告知しています。Googleは日付で、Anthropicはモデル世代(Opus 4.7以降)で線を引いており、書き方が異なるため、Anthropic側が具体的に何年何月に非推奨化したかは公式ページからは分かりません。

API・製品:OpenAIのAssistants APIは2025年8月26日の告知から1年後の2026年8月26日に停止予定として掲載されていました。Agent Builder、Evalsプラットフォーム、再利用可能プロンプトオブジェクトも2026年11月30日に停止予定です。モデルを変えていなくても、周辺APIが先に消えることがあります。

派生資産:OpenAIは「ファインチューニング済みモデルでの推論は、ベースモデルがdeprecated(提供終了告知の対象)になるまで利用可能」としています。OpenAIは同じページで「deprecated」(告知された時点)と「shut down」(実際に止まる時点)を別の言葉として使い分けており、この文がどちらの日付を指しているかは公式ページの記述だけでは確定できません。2026年10月23日にはファインチューニング版(ft-gpt-3.5-turboft-gpt-4など)も一括で停止予定に入っています。ファインチューニングの費用感についてはファインチューニング やり方・費用・いつ使うべきかも参照してください。

乗り換えコストを織り込むための4つの確認

以上の公式ドキュメントから、モデルを選ぶ段階で確認できることを4点に整理します。効果を保証するものではなく、確認項目の列挙です。

1. 使うIDが日付つきスナップショットか、エイリアスか。 claude-sonnet-4-5-20250929のような日付つきIDは、その1本に対して終了日が付きます。一方Googleのgemini-flash-latestのようなlatestエイリアスは、新リリースのたびに中身が入れ替わり、破壊的変更の場合のみ2週間前にメール通知される仕様です。前者は「ある日突然止まる代わりに挙動が固定」、後者は「止まらない代わりに挙動が変わりうる」というトレードオフになっています。

2. previewを本番に置くかどうか。 Googleはpreview版で最低2週間と明記しています。一方OpenAIは下限を示しておらず、「2週間などさらに短い通知になることもある」という書き方です。どちらもpreview版の通知期間を短く見ている点は共通していますが、Googleは下限が保証、OpenAIは下限の保証なしという違いがあります。OpenAI側は本番利用を推奨しないと文章で書いています。

3. 移行時にプロンプトを書き直す前提を持っているか。 モデルを差し替えると同じプロンプトが同じ結果を返すとは限りません。この点はモデルを乗り換えると同じプロンプトが効かないで動画生成モデルの実例を扱っています。Anthropicも公式ページで「置き換えモデルの性能を測るため、終了日よりかなり前に十分なテストを」と書いており、移行は差し替え1行では終わらない前提で書かれています。

4. 自分がどのモデルを使っているか棚卸しできるか。 Anthropicは監査手順を公式に示しています。Claude Consoleの「Usage」ページを開き、「Export」をクリックし、ダウンロードしたCSVでAPIキー別・モデル別の使用状況を確認する、という3ステップです。単価と合わせた見直しはClaude・GPT・Gemini API料金の読み方もあわせてどうぞ。

「廃止予定日」は下限日であり確定日ではない

限界を先に書きます。

「Not sooner than」も「earliest possible」も予定日ではありません。 Anthropicの現行モデル表は「この日より早くはならない」という下限の表記です。Googleも「表に記載した停止日は、モデルが引退しうる最も早い日付を示す。正確な停止日は事前通知で伝える」と注記しています。この記事の表に並べた日付は、確定した予定日ではなく下限日を含みます。

パートナー経由の利用は対象外です。 Anthropicは、公式ページの日付が適用されるのはAnthropic運営プラットフォーム(Claude API、Claude Platform on AWS、Microsoft Foundry)であり、Amazon BedrockとGoogle Cloudは独自の終了スケジュールを設定するため、ライフサイクル状態も日付も異なりうると明記しています。Bedrock経由・Vertex経由で使っている場合は、そちらのモデル表を別途確認する必要があります。

コンシューマ向けアプリの話は含みません。 今回確認したのはいずれも開発者向けAPIのドキュメントです。ChatGPTやClaudeのアプリ上でモデル選択肢がいつ消えるかは、これらのページからは読み取れません。

通知メールが実際に届くかは検証していません。 3社とも「利用中の顧客にメールで通知する」と書いていますが、この記事はドキュメントの記述を確認しただけで、通知の運用実態は確認していません。

Legacy→Deprecatedの所要期間は不明です。 AnthropicもOpenAIも中間状態としてLegacyを定義していますが、Legacyになってからどれくらいで終了日が付くかについての明文規定は、確認した範囲では見当たりませんでした。

補足:Anthropicは重みの保存を公表している

終了の裏側について、Anthropicは2025年11月4日の記事で、公開済みモデルおよび社内で大きく使われたモデルの重みを「少なくともAnthropicという会社が存続する限り」保存すると表明しています。同記事では、モデルを引退させる理由として「公開推論を維持するコストと複雑さが、提供モデル数に対しておおむね線形に増える」ことを挙げ、あわせて引退時に当該モデルへのインタビューを含む事後レポートを作成する方針も書かれています。ただしこれは重みの保存の約束であって、APIで再び使えるようになる約束ではありません。同社は「いずれ過去モデルを再び公開できればと考えている」という表現にとどめています。

一次ソースの追い方そのものについてはAIニュースの追い方も参考にしてください。


出典・但し書き

本記事の日付・状態・モデルIDは、2026年8月27日に以下の公式ページを取得し、その本文から確認したものです。

提供終了スケジュールは各社の判断で変更されます。Anthropicの現行モデル欄は「Not sooner than」(最早日)、Googleの停止日欄は「最も早い引退可能日」であり、いずれも確定した実施日ではありません。またOpenAIは安全性・コンプライアンス上の理由で通知期間を短縮しうると記載しています(この記載はOpenAIの公式ページのみで確認したものです。AnthropicとGoogleの公式ページには、確認した範囲で同様の記載は見当たりませんでした)。通知から停止までの日数(60日・181日など)は、Anthropic公式ページに掲載された通知日と停止日から本記事側で計算したもので、同社が公表した集計値ではありません。実際の移行判断にあたっては、各社の公式ページで最新の記載を確認してください。本記事は法務・契約上の助言ではありません。

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