2026年9月5日 土曜日
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「AGIはいつ来るか」を年表で並べる──1993年のヴィンジから2027年のアッシェンブレナーまで、誰が何と言ったか

技術的特異点やAGIの到来時期についての予測は、1993年から30年以上にわたって積み重なってきた。ヴィンジ・グッド・カーツワイル・ボストロム・OpenAI・アッシェンブレナー・アルトマンの発言を、一次資料で確認した年号とともに年表として並べる。

「AGIはいつ来るか」を年表で並べる──1993年のヴィンジから2027年のアッシェンブレナーまで、誰が何と言ったか
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目次

「AGIはいつ来るのか」という問いへの答えは、この30年余りの間、様々な立場の書き手によって様々な形で提示されてきた。本記事は、うちがこのバッチで一次資料に当たり直した範囲の発言・論文を、年表として並べる。個別の主張の詳しい検証は、それぞれのリンク先記事で扱っている。

3行まとめ

  1. AGI・技術的特異点の到来時期についての予測は、1965年のI.J.グッドから2026年の国際AI安全性報告書まで、少なくとも15件を本記事で一次資料つきの年表として並べた
  2. 予測される「到達年」は年々近づく傾向がある。1993年のヴィンジは「30年以内」(=2023年頃)、1997年のボストロムは「今世紀最初の3分の1」(=2033年頃)、2024年のアッシェンブレナーは「2027年までのAGIは十分にありうる」としている
  3. 予測の担い手も変化している。1990〜2000年代は数学者・哲学者による理論的考察が中心だったが、2020年代はOpenAI・Anthropicなど当事者企業のCEO・元従業員による、より具体的な発言が主流になっている

年表

誰が 何を主張したか
1965年 I.J.グッド(統計学者) 「超知能機械は人間が行う必要のある最後の発明になる」。詳細はAGI(汎用人工知能)とは何か
1993年 ヴァーナー・ヴィンジ(数学者・SF作家) エッセイ「The Coming Technological Singularity」(NASAルイス研究センター主催VISION-21シンポジウムで発表)で「30年以内に、超人的知能を作る技術的手段を我々は手にするだろう」。本人のSDSU教員ページで原文をcurl確認。詳細は「技術的特異点」を最初に言ったのは誰か
1997年 ニック・ボストロム(哲学者) 「今世紀最初の3分の1のうちに、人間を超える人工知能が実現するだろう」と論じ、「超知能」を定義。詳細はAGIとASIは何が違うのか
1999年 レイ・カーツワイル 著書『The Age of Spiritual Machines』で「2029年に機械がチューリングテストに合格する」と予測(Wikipedia経由で確認、書籍原文は未確認)
2001年 レイ・カーツワイル エッセイ「収穫加速の法則」を発表。指数関数的な技術進歩の測定法を提示(ただし「2029年」「2045年」という数字自体はこのエッセイ本文には見当たらなかった)。詳細はカーツワイルの「2029年」まであと2年半
2005年 レイ・カーツワイル 著書『The Singularity Is Near』で「2045年に技術的特異点が到来する」と予測(Wikipedia経由で確認)
2012年 ニック・ボストロム 「オーソゴナリティ命題」を提示。知能と目標は独立に変化しうるため、知能が上がれば自動的に「良い」目標を持つとは限らないと論じた。詳細は「ペーパークリップを増やし続けるAI」の話はどこから来たか
2023年2月 OpenAI 「Planning for AGI and beyond」を公開。AGIへの段階的な移行方針を明文化。詳細はOpenAI「Planning for AGI and beyond」を原文で読む
2023年9月 Anthropic 責任あるスケーリングポリシー(RSP)v1.0を公開。詳細はAnthropicの「責任あるスケーリングポリシー」とは
2024年6月 レオポルド・アッシェンブレナー(元OpenAI研究員) エッセイ「Situational Awareness」で「2025/26年までにAIは多くの大学卒業生を上回るペースになる」「2027年までのAGIは十分にありうる」と予測。詳細は「2025/26年に大学卒業生を上回る」は当たったか
2025年1月 国際AI安全性報告書 第1回年次報告書公開(フランスAIアクションサミット前)。30ヶ国・国際機関の推薦を受けた専門諮問委員会が監督し、議長ヨシュア・ベンジオのもと100名超の専門家が執筆(公式サイトをcurlで確認)
2025年3月 Cameron R. Jones・Benjamin K. Bergen(UCSD) GPT-4.5が三者間チューリングテストで73%の確率で「人間」と判定されたと報告。詳細はGPT-4.5は73%の確率で「人間」と判定された
2025年6月 サム・アルトマン(OpenAI CEO) 本人ブログでエッセイ「The Gentle Singularity」を公開(curlで原文確認)。"2026 will likely see the arrival of systems that can figure out novel insights. 2027 may see the arrival of robots that can do tasks in the real world."(2026年には新たな洞察を発見できるシステムが登場し、2027年には実世界でタスクをこなすロボットが登場するかもしれない)と記述。詳細はサム・アルトマンの「穏やかな特異点」論を読む
2026年1月 Center for AI Safety・Scale AI 「Humanity's Last Exam」がNature誌に掲載。詳細はHumanity's Last Exam、Nature誌に掲載
2026年2月3日 国際AI安全性報告書 第2回年次報告書公開。議長ヨシュア・ベンジオ、Contributorsページ(curlで確認)の「Senior Advisers」欄にジェフリー・ヒントン氏(トロント大学)の記載あり。詳細は国際AI安全性報告書2026

予測を並べて見えること

この年表を通して見ると、いくつかの傾向が浮かぶ。第一に、予測される「到達年」は年々近づいてきている。1993年のヴィンジは「30年以内」(=2023年頃)、1997年のボストロムは「今世紀最初の3分の1」(=2033年頃まで)、2024年のアッシェンブレナーは「2027年までのAGIは十分にありうる」と、後になるほど期限が近くなる傾向がある。ただしこれが「予測の精度が上がっている」ことを意味するのか、「楽観バイアスが強まっている」ことを意味するのかは、この年表だけからは判断できない。

第二に、予測の担い手が変わってきている。1990年代〜2000年代は学術研究者(数学者・哲学者)による理論的な考察が中心だったのに対し、2020年代の予測は、AI企業のCEOや現役・元従業員による、より実務的・具体的な予測に置き換わっている。これは単純にAI企業が実際にAGIに近いとされるシステムを開発する主体になったことの反映とも読めるが、同時に、こうした予測の書き手が自社の技術的優位性を印象づける立場にあることにも注意が必要だ。

第三に、「特異点」「知能爆発」という言葉の使われ方は一貫している。フォン・ノイマン(1950年代)→グッド(1965年)→ヴィンジ(1993年)→アッシェンブレナー(2024年)と、60年以上にわたって、AI自身がAI研究を加速させることで進歩が急激に速まる、という基本的な発想が繰り返し語られてきた。

確認できた予測だけを並べた年表で、網羅ではない

  • この年表は「うちが一次資料を確認できた予測」のみを並べたものであり、AGI・シンギュラリティに関する予測を網羅したものではない。イーロン・マスクの自動運転・AGI関連の発言、中国のAGI競争に関する主張、Metaculusのような予測市場の集計値など、本バッチで一次資料への到達を試みたが確認できなかった、あるいは時間の制約で調査を見送った項目は含まれていない。
  • 各予測の的中・不的中を判定する客観的な基準は存在しないものが大半で、本記事はどの予測が「当たった」かを判定するものではない。個別記事ではそれぞれの予測の検証可能な範囲を扱っているが、多くは「まだ判定できない」という結論にとどまっている。
  • カーツワイルの1999年・2005年の予測はWikipedia経由の確認であり、書籍原文そのものは確認していない。今回のバッチ全体で確認した15件のうち、著者本人の原文・公式サイトを直接curlで確認できたのはヴィンジ(1993年)・アルトマン(2025年)・国際AI安全性報告書(2025年・2026年)で、それ以外は個別記事の検証結果に依拠している。
  • I.J.グッド(1965年)のエッセイ「Speculations Concerning the First Ultraintelligent Machine」については、本記事・本バッチのいずれにおいても原文をcurlで直接確認できていない。この行の引用は孫引きの可能性がある点に留意してほしい。
  • 「AGI」という言葉自体が指す内容に業界統一の定義がないため(AGI(汎用人工知能)とは何かを参照)、年表に並んだ予測同士も、実は同じ基準で「AGI到達」を語っているとは限らない。

この記事は2026年8月29日時点で、本バッチ内の各記事で確認した一次資料を基に構成したものです。

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出典・参照資料

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