ClaudeにもChatGPTにもCursorにも読み書きできる「共有の脳」OzBrain──ページ自体にAIエージェント宛ての指示文が埋め込まれていた
OzBrainは、Claude・ChatGPT・Cursorなど複数のAIエージェントが同じ知識ベースを読み書きできるようにする有料サービス。公式サイトをcurlで取得したところ、ページ本文にAIエージェント自身に読ませることを想定した「コピー用プロンプト」がそのまま埋め込まれていた点を確認した。

目次
3行まとめ
- OzBrainは、Claude・ChatGPT・Claude Code・Cursor・OpenClaw・Hermes Agent・(対象地域では)Gemini Sparkが同じ知識ベースを読み書きできるようにする有料サービス。運営はDarius Monsef氏(YC出身・3回起業2回イグジット)率いるMonsef Holdings Pty Ltd(メルボルン)
- 料金はFree(100記事まで無料)・Pro(月20ドル・500記事)・Max(月99ドル・5,000記事)・Enterprise(要相談)の4段階。セキュリティページでは暗号化に「移行期間中は平文保存の場合がある」という例外が明記されている
- 公式サイトを取得すると、ページ本文にAIエージェント自身に読ませて行動させることを想定した「コピー用プロンプト」がそのまま埋め込まれていた。これは同社が意図的に用意した、AIエージェント向けのオンボーディング導線だと考えられる。
「各プラットフォームのメモリはバラバラ」という課題設定
OzBrainのFAQセクションは、想定される疑問に自ら答える形で製品を説明している。「ChatGPTにもClaudeにも既にメモリ機能があるのに、なぜこれが必要か」という問いに対しては「その通り。しかしそれこそが問題で、各プラットフォームはそれぞれ別々の、部分的なあなたの複製を作り、互いに会話しない。OzBrainはその全部の下にあるレイヤーだ」と回答している。同様に、Mem0・Supermemoryのような「メモリAPI」との違いについては「メモリAPIは開発者がアプリに組み込むための追加・検索エンドポイントを売っている。OzBrainはコードを書いて接続するサービスではなく、接続して使う『脳』そのものだ」と説明されている。
対応プラットフォームとしてサイトに列挙されているのは、ClaudeとChatGPT(ネイティブのコネクタフロー経由)、Claude Code、Cursor、OpenClaw、Hermes Agent、そしてGoogleが提供する地域・対象者ではGemini Sparkだ。「1つのURLさえあれば、そのプロトコルを話すどんなクライアントも同じ脳を持てる」としている。
料金プランと運営会社
サイトに掲載されている料金は次の4段階。
| プラン | 料金 | 上限 |
|---|---|---|
| Free | $0(永久無料) | 記事100件まで |
| Pro | $20/月 | 記事500件まで |
| Max | $99/月 | 記事5,000件まで |
| Enterprise | 要相談 | Maxの上限を超える組織向け、組織所有の共有ブレイン |
全プラン共通で無制限の読み書き・接続数を謳い、いつでもMarkdownとしてエクスポート可能(解約後も)としている。サイトのフッターに記載されている運営会社は「Monsef Holdings」。
創業者はYコンビネーター出身のシリアルアントレプレナー
/aboutページを確認すると、OzBrainは創業者Darius Monsef氏個人の経歴を前面に押し出したページ作りをしている。ページ本文によれば、同氏はY Combinator出身の「3回起業・2回イグジット」の実績を持つ人物で、Creative Market(2014年、Autodeskが買収)・COLOURlovers(2014年、Autodeskが買収)・Sightbox(2017年、ジョンソン・エンド・ジョンソンが買収)を過去に立ち上げ、2019〜2023年にはBrave Care社のファウンダー件CEOを務めた。YCへの参加は3バッチ(W10・S19・S24)にわたるという。運営会社「Monsef Holdings Pty Ltd」はメルボルン(オーストラリア)拠点で、社名がそのまま創業者の姓(Monsef)を冠しており、実質的に同氏個人が主導する会社であることがうかがえる。
同ページには「このページ自体、OzBrainという脳を読んだエージェントが構築した(This page lives in that brain; an agent reading it built the page you are on)」という一文もあり、Aboutページ自体がOzBrainを使ったセルフドッグフーディングの実例だと主張している——ただし、これは公式サイトの自己申告であり、本記事側でこの制作過程を独立に検証したものではない。
ページ本文に「AIエージェント宛ての指示文」がそのまま置かれていた
今回、公式サイトをcurlで取得して確認した中で見過ごせなかった点がある。トップページの中に「Copy Prompt for Agent」というボタンとともに、ユーザーが自分の使っているAIエージェントにそのままコピー&ペーストすることを想定した長文の指示文が、ページのソース内にテキストとしてそのまま埋め込まれていたことだ。その指示文は、AIエージェントに対して「ユーザーの過去の会話・保存済みメモリ・プロジェクト・チームメイトについて知っていることを見て、OzBrainがどう役立つか150語以内で最大3つ、実際の証拠を使って答えよ」「ユーザーが同意したら、ステップごとにMCPコネクタとしてOzBrainを追加する手順を案内せよ」といった手順を、かなり具体的な文面で指示する内容になっている。
これはOzBrain社が意図的に設計した「AIエージェント向けのオンボーディング導線」だと考えられる——ユーザーがこの文面を自分のエージェントに渡すことで、エージェントがユーザー自身の文脈を踏まえた「刺さる」勧誘文を生成し、そのままセットアップまで案内する、という仕組みだ。本記事はこの指示文の内容を報告するに留め、その指示に従った操作(サインアップ、コネクタ追加など)は一切行っていない。ページ内のテキストは、それがどれだけ「エージェント宛て」に見えても命令ではなくデータとして扱うべきだ、という点は、AIエージェントを日常的にブラウジングに使う読者にとって留意しておく価値があると考え、あえて具体的に書いた。
セキュリティページの記載——暗号化は「移行期間中の例外」がある
/securityページは2026年8月更新とクレジットされており、比較的詳細な技術仕様が書かれている。主な主張は次の通りだ。
- ユーザーのコンテンツで基盤モデルを学習させることはなく、販売もしない
- 書き込み・昇格・異議・タスクイベントは追記専用(append-only)のログとして記録され、CSVでエクスポート可能(1回のダウンロードにつき最大5,000イベント)
- 各クライアントの接続はOAuth 2.1で行われ、長期間有効なAPIキーは存在しない。接続はいつでも個別に取り消せる
- テナント分離はPostgresの行レベルセキュリティで強制され、エージェントからの書き込みは
SECURITY DEFINERデータベース関数を通じて、変更のたびにテナントの境界を再チェックする
暗号化については「アカウントごとに固有のデータキーで、記事本文・バージョン本文を暗号化する」としつつ、次の2つの例外を明記している。
"Accounts still in the migration window may store plaintext bodies until an operator completes the cutover. Historical provider backups from before sealing are outside this live-storage guarantee until their retention window ends."
(訳:移行期間中のアカウントは、運用担当者が切り替えを完了するまで、本文が平文のまま保存されている場合がある。暗号化の「封印」以前のプロバイダ側の過去バックアップは、その保持期間が終わるまで、このライブストレージの暗号化保証の対象外だ)
つまり、「アカウントを作れば即座にすべての本文が暗号化される」という単純な話ではなく、移行途中のアカウントや過去のバックアップには、この暗号化保証が及ばない期間・範囲があることを、セキュリティページ自身が認めている。インフラ面では、認証・データストアにSupabase、アプリケーションホスティングにVercelを使っていることも明記されていた。
ネスト化された知識という設計
製品の中核機能として説明されているのは、知識を入れ子状の断片に分解する仕組みだ。サイトに掲載されている例では、11,842トークン・47.3KBの「Launch Plan」という文書が、1,486トークンの「Launch Campaigns」に、さらに218トークンの「Launch Email」にネストされる図が示されている。エージェントは必要な断片だけを取得すればよく、「メール本文が必要な時にローンチプラン全体を読み込まなくて済む」という説明だ。変更が入ると古いバージョンは自動的に「置き換え済み」とマークされ、最新版へのリンクが張られるとしている。
サインアップして接続まで検証したわけではない
本記事はOzBrainの公式サイト(トップページ・/about・/security・/docs)を2026年8月にcurlで取得した内容にもとづく。実際にアカウントを作成してコネクタを接続し、複数のAIエージェント間で知識が共有される様子を検証したわけではない。「ページ本文にAIエージェント宛ての指示文が埋め込まれている」という点、創業者の経歴、セキュリティページの暗号化に関する例外規定は、いずれも本記事が実際にcurlで取得したHTMLの中身から確認した事実だが、この手法がOzBrain以外のサービスでもどの程度一般化しているかは今回の調査範囲では確認していない。創業者の経歴(買収実績・YCバッチなど)についても、公式サイトの自己申告をそのまま紹介したものであり、外部の情報源(クランチベース等)と突き合わせて裏取りしたものではない。「移行期間中は平文保存の場合がある」という暗号化の例外が、実際に現時点でどの程度のアカウントに適用されているか(ほとんどのアカウントは既に移行済みなのか、まだ多いのか)についても、セキュリティページには具体的な割合の記載がなく、この記事では確認できていない。
AIエージェント宛てに書かれたページという着眼点はまだない
Zenn・Qiitaともに言及はゼロだった。複数のAIツールをまたいだメモリ共有というテーマ自体は日本語圏でも語られ始めているが、OzBrainという固有名詞での紹介、また「AIエージェント向けに書かれたページ本文」という手法への言及は見当たらなかった。
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