2026年8月13日 木曜日
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MCP(Model Context Protocol)とは──AIとツールをつなぐ共通規格

MCP(Model Context Protocol)は、AnthropicがAIアプリケーションと外部のデータやツールを接続するために2024年11月25日に公開したオープンソースの標準規格です。ClaudeやChatGPT、Visual Studio Code、CursorなどがMCPに対応し、ファイルシステムやGoogle Driveといった外部システムへAIが接続できるようになります。仕組み、実際に使える公式サーバー、接続時のセキュリティ上の注意点を公式ドキュメントの記述にもとづいて整理しました。

MCP(Model Context Protocol)とは──AIとツールをつなぐ共通規格
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MCP(Model Context Protocol、モデルコンテキストプロトコル)とは、AnthropicがAIアプリケーションを外部のデータソースやツールに接続するために作った、オープンソースの標準規格です。2024年11月25日に公開されました。これまでAIにファイル操作やデータベース参照、外部サービスとの連携をさせるには、サービスごとに専用の統合コードが必要でした。MCPは、この「AIとツールをつなぐ配線」を1つの共通規格に揃え、同じ実装を複数のAIアプリケーションで使い回せるようにするために作られています。

  • MCPは、AnthropicがAIとデータ・ツールをつなぐために2024年11月25日に公開したオープンソースの標準規格
  • AIアプリケーション(ホスト)・接続窓口(クライアント)・データやツールを提供する側(サーバー)という3つの役割で構成される
  • ファイルシステム操作からGoogle Drive連携まで幅広い用途で使われる一方、公式ドキュメントは「ローカルサーバーはクライアントと同じ権限で動く」という構造上のリスクを明記している

(本記事の情報は2026年8月14日時点のものです)

MCPとは何か

公式サイトは、MCPを「AIアプリケーションを外部システムに接続するためのオープンソースの標準規格」と定義しています。ローカルファイルやデータベースといった「データソース」、検索エンジンや計算ツールといった「ツール」、あらかじめ用意されたプロンプトのテンプレートといった「ワークフロー」に、AIアプリケーションがアクセスできるようにする規格です。

公式サイトは、MCPの位置づけを次のような例えで説明しています。

Think of MCP like a USB-C port for AI applications. Just as USB-C provides a standardized way to connect electronic devices, MCP provides a standardized way to connect AI applications to external systems.

(MCPは、AIアプリケーションにとってのUSB-Cポートのようなものだと考えてほしい。USB-Cが電子機器同士をつなぐ標準的な方法を提供するのと同じように、MCPはAIアプリケーションを外部システムにつなぐ標準的な方法を提供する)

仕様・SDK・サーバーの実装はGitHubのmodelcontextprotocol組織で公開されており、特定のAIモデルやベンダーに縛られない規格です。公式サイトによると、ClaudeやChatGPTだけでなく、Visual Studio Code、Cursor、MCPJamといった開発ツールもMCPに対応しています。AIエージェントがMCPを使うと、外部ツールを実際に「呼び出せる手」を得ることになります。

従来のAPI連携やプラグインと何が違うのか

Anthropicは発表の中で、MCP以前の状況について次のように述べています。

even the most sophisticated models are constrained by their isolation from data

(どれほど高度なモデルであっても、データから隔離されていることによって制約を受ける)

これまでAIアプリケーションを特定のデータソースにつなぐには、サービスごとに専用の統合コードが必要でした。ChatGPTのプラグインや各社チャットAIの外部連携機能も、基本的にはサービスとAIモデルの組み合わせごとに個別実装が必要になりがちだった、という構造は共通しています。MCPは、サーバー側を1回実装すれば対応するどのホストからでも接続できる「一度作れば使い回せる」設計を目指すものです。ただし業界全体で統合コストがどこまで減ったかを示す数値は、今回読んだ公式ソースにはありませんでした。

構成要素はどうなっているのか

公式ドキュメント「Architecture overview」は、MCPを構成する3つの役割を次のように定義しています。

役割 公式の定義(和訳) 具体例
MCPホスト(Host) 1つまたは複数のMCPクライアントを調整・管理するAIアプリケーション Claude Desktop、Claude Code、Visual Studio Code
MCPクライアント(Client) MCPサーバーへの接続を維持し、ホストのためにサーバーからコンテキストを取得するコンポーネント ホスト内部で、接続先サーバーごとに1つずつ生成される
MCPサーバー(Server) MCPクライアントにコンテキストを提供するプログラム ファイルシステムサーバー、Gitサーバー、Sentryのリモートサーバーなど

サーバーは動く場所によって2種類に分かれます。標準入出力(stdio)でやり取りする「ローカル」サーバーは同じマシン上で動作し通常1つのクライアントに対応、Streamable HTTPでやり取りする「リモート」サーバーはネットワーク越しに複数のクライアントへ同時にサービスを提供できます。公式ドキュメントは、Claude Desktopが起動するファイルシステムサーバーをローカル型、Sentryの公式MCPサーバーをリモート型の例に挙げています。

MCPサーバーが提供できる中核要素(プリミティブ)は次の3つです。

  • Tools:AIが実行できる関数(ファイル操作、API呼び出し、データベース照会など)
  • Resources:AIに渡す文脈データ(ファイルの中身、データベースのレコードなど)
  • Prompts:やり取りの型を決める再利用可能なテンプレート

MCPで実際に何ができるのか

公式サイトは「MCPで何が可能になるか」の例として、次の4つを挙げています。

用途 公式サイトが挙げる例
パーソナルアシスタント エージェントがGoogle CalendarやNotionにアクセスし、より個人に合わせたAIアシスタントとして動く
コーディング支援 Claude CodeがFigmaのデザインをもとに、Webアプリ全体を生成する
企業内データ活用 企業向けチャットボットが組織内の複数のデータベースに接続し、チャット操作でデータ分析を可能にする
3D設計・製造 AIモデルがBlenderで3Dデザインを作成し、3Dプリンタで出力する

(Claude CodeについてはClaude Codeとはで詳しく解説しています)これらはあくまで公式サイトが挙げる用途の例で、実現のしやすさや効果を保証するものではありません。

実際に存在する公式サーバーとしては、GitHubリポジトリmodelcontextprotocol/serversに、次の7つが「参考実装(reference implementations、MCPの機能とSDKの使い方を示す教育用の例)」として公開されています。

  • Everything:プロンプト・リソース・ツールを一通り備えたテスト用サーバー
  • Fetch:Webコンテンツの取得と変換
  • Filesystem:アクセス制御つきのファイル操作
  • Git:Gitリポジトリの読み取り・検索・操作
  • Memory:ナレッジグラフ形式の永続メモリシステム
  • Sequential Thinking:段階的な思考のシーケンスを使った問題解決
  • Time:時刻・タイムゾーン変換

なお、Anthropicが2024年11月25日の発表時に例示した事前構築サーバーはGoogle Drive・Slack・GitHub・Git・Postgres・Puppeteerで、現在の参考実装一覧(上記7つ)とは顔ぶれが異なります(詳しくは後述の「正直な但し書き」を参照)。これとは別に、Block・Apolloが早期採用企業、Zed・Replit・Codeium・Sourcegraphが開発ツール企業として発表内で名前が挙げられています。

使い始めるにはどうすればいいのか

Anthropicの発表によると、すべてのClaude.aiプランがClaude DesktopアプリへのMCPサーバー接続に対応しています。公式ドキュメント「Connect to local MCP servers」に沿うと、Claude Desktopでローカルのファイルシステムサーバーを使う手順はおおむね次の流れです。

  1. Claude Desktopをインストール・最新版に更新し、サーバーの実行環境(Filesystemサーバーの場合はNode.js)を用意する
  2. Claudeメニュー→「Settings」→「Developer」→「Edit Config」から設定ファイル(macOSは~/Library/Application Support/Claude/claude_desktop_config.json)を開く
  3. 使いたいMCPサーバーの起動コマンドと、アクセスを許可するディレクトリなどをJSON形式で記述する
  4. Claude Desktopを再起動し、「Connectors」からサーバーの接続を確認する

公式ドキュメントによると、接続後はファイル操作などを実行する前に毎回Claudeが承認を求める仕組みです。Visual Studio CodeやCursorなど他のホストも対応していますが、具体的な設定方法はホストごとに異なるため、それぞれの公式ドキュメントの確認が必要です。

セキュリティ上の注意点は何か

MCPは、AIに外部のツールやデータへのアクセス権を渡す仕組みです。裏を返せば、信頼できないMCPサーバーに接続すると、そのAIが持つのと同じ権限を、サーバーの作者にも事実上渡すことになる、という構造上のリスクがあります。

公式ドキュメント「Connect to local MCP servers」は、この点を注意書きとして次のように明記しています。

Only grant access to directories you're comfortable with Claude reading and modifying. The server runs with your user account permissions, so it can perform any file operations you can perform manually.

(Claudeに読み書きされても構わないディレクトリにだけアクセスを許可すること。サーバーはあなたのユーザーアカウントの権限で動作するため、あなたが手動でできるファイル操作はすべて実行できてしまう)

公式のセキュリティガイド「Security Best Practices」は、ローカルMCPサーバーが侵害された場合のリスクとして「任意のコード実行」「可視性の欠如(実行内容を把握できない)」「復旧不能なデータ喪失」を挙げ、対策としてクライアント側が実行コマンドを省略せず表示し、危険なパターンに警告を出し、サンドボックス化した環境でサーバーを実行すべきだとしています。利用者側では、信頼できる配布元のサーバーを使い、渡すアクセス範囲を必要最小限に絞り、実行前の確認内容を読んでから承認することが読み取れます。

なお、文書やWebページに隠された指示を仕込みAIの動作を乗っ取る「プロンプトインジェクション」も、MCP経由で外部データを読み込む場面では関係してくるリスクです。詳しくはプロンプトインジェクションとはで扱っています。

正直な但し書き

  • 参照ページは公式ドキュメント上で「2026-07-28」版として提供されているもので、同ページには「Samplingはこの版で非推奨」との記載もあり、MCPの仕様は2024年11月の発表以降も更新が続いています。本記事の技術的な詳細が今も同じとは限りません。
  • 発表時(2024年11月25日)の事前構築サーバー例と、現在GitHubの参考実装一覧は顔ぶれが異なります。どちらも公式ページで確認しましたが、構成がいつ・なぜ変わったのかは今回調べた範囲では分かりません。
  • 課題として提示されたdocs.anthropic.com/en/docs/mcpは、実際にはplatform.claude.com経由でmodelcontextprotocol.ioにリダイレクトされ、現在は同じ内容を指しています。
  • MCPサーバーの総数、対応クライアント数、利用企業数、導入率といった規模の統計は、今回読んだ公式ソースには見当たらず、普及度合いを数値で語れる材料はありません。セキュリティの章も公式ドキュメント記載の範囲(主にローカルサーバー侵害時のリスク)の整理で、実際の被害事例や攻撃頻度の数字までは確認していません。

出典

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