OpenAIが「4o」を外した文字起こしモデルを投入──GPT Transcribe・GPT Live Transcribeの料金と対応範囲
OpenAIが2026年7月28日、音声認識モデル「GPT Transcribe」と低遅延ストリーミング版「GPT Live Transcribe」をリリースした。ファイル文字起こしは1分あたり$0.0045で、キーワードヒントや複数言語の期待指定に対応する。既存の「gpt-4o-transcribe」系は2026年8月26日付で廃止が告知され(2027年2月26日に停止)、新シリーズへの移行が公式に指示されている。

目次
OpenAIの音声文字起こしモデルといえば「gpt-4o-transcribe」系がこれまで定番だったが、2026年7月28日、モデル名から「4o」を外した新シリーズ「GPT Transcribe」「GPT Live Transcribe」がリリースされた。公式API変更履歴(developers.openai.com/api/docs/changelog.md)とモデルページで、料金・対応範囲を確認した。
3行まとめ
- GPT Transcribe(
gpt-transcribe)は完了済み音声ファイルの文字起こし向けで、料金は音声1分あたり$0.0045。GPT Live Transcribe(gpt-live-transcribe)は低遅延ストリーミング向けで、公式モデルページ実測では1分あたり$0.017と約3.8倍高い- 両モデルとも
v1/realtime/transcription_sessionsのみ対応するが、GPT Transcribeはさらにv1/audio/transcriptions(ファイルアップロード)にも対応する一方、GPT Live Transcribeはそちらに非対応というエンドポイントの違いがある- 旧世代の
gpt-4o-transcribeはトークン単価制(入力$2.5/output$10、100万トークンあたり)だったのに対し、新シリーズ2つは音声の長さで課金する分単価制に変わっており、課金方式自体が異なる
変更履歴の記載内容
該当エントリの原文はこうだ。
Released GPT Transcribe for accurate file transcription and final transcripts of committed Realtime turns, along with GPT Live Transcribe for low-latency streaming transcription. Both models support free-form transcription context, keyword hints, and multiple expected input languages.
(正確なファイル文字起こしとRealtimeの確定ターンの最終トランスクリプト向けにGPT Transcribeを、低遅延ストリーミング文字起こし向けにGPT Live Transcribeをリリースした。両モデルとも自由形式の文字起こしコンテキスト、キーワードヒント、複数の期待入力言語に対応する)
「Realtimeの確定ターンの最終トランスクリプト」という表現がやや分かりにくいが、これはRealtime API(音声対話セッション)で会話が確定した箇所を、後から正確な文字起こしとして出力する用途を指している。
GPT Transcribeの仕様(モデルページで確認)
developers.openai.com/api/docs/models/gpt-transcribeのモデルページには、次の仕様が明記されている。
- 入力モダリティ:音声・テキスト、出力モダリティ:テキスト
- 対応エンドポイント:
v1/audio/transcriptions(ファイル文字起こし)とv1/realtime/transcription_sessions(Realtimeの文字起こしセッション)のみ。Chat Completions・Responses・通常のRealtimeエンドポイントには非対応 - 料金:音声1分あたり$0.0045(トークン単価ではなく音声の長さで課金)
- ストリーミングに対応
- レート制限はTier制で、Tier 1が500 RPM/200,000 TPM、Tier 5では30,000 RPM/150,000,000 TPMまで拡張される
GPT Live Transcribeの詳細——見つからなかったモデルページを、URLを変えて見つけた
当初、GPT Live Transcribeの詳細仕様はモデルページ単体から確認できていなかったが、developers.openai.com/api/docs/models/gpt-live-transcribeという個別ページ自体が実際に存在し、末尾に.mdを付けて取得すると仕様が確認できた。GPT Transcribeと並べると次の違いがある。
| 項目 | GPT Transcribe | GPT Live Transcribe |
|---|---|---|
| モデルID | gpt-transcribe |
gpt-live-transcribe |
| 料金 | $0.0045/分 | $0.017/分(約3.8倍) |
v1/audio/transcriptions(ファイルアップロード) |
対応 | 非対応 |
v1/realtime/transcription_sessions |
対応 | 対応 |
| Tier 1のレート制限 | 500 RPM/200,000 TPM | 500 RPM/60,000 TPM |
| Tier 5のレート制限 | 30,000 RPM/150,000,000 TPM | 10,000 RPM/780,000 TPM |
料金差はおよそ3.8倍で、低遅延ストリーミングに特化した分だけ単価が高い。エンドポイント対応も完全に同一ではなく、GPT Live Transcribeは「ファイルをアップロードしてまとめて文字起こしする」用途(v1/audio/transcriptions)には対応していない。レート制限も、Tier 5で比べるとGPT TranscribeがRPM 30,000/TPM 1億5,000万まで拡張されるのに対し、GPT Live TranscribeはRPM 10,000/TPM 78万にとどまり、同じTierでも上限の伸び方が異なる。
gpt-4o-transcribeとの関係——課金方式そのものが変わっていた
後継関係については、公式のAPI変更履歴に明示的な記載がある。2026年8月26日付の項に「whisper-1・gpt-4o-transcribe・gpt-4o-mini-transcribe・gpt-4o-transcribe-diarizeの廃止を告知した。これらのモデルは2027年2月26日に停止する。gpt-live-transcribe または gpt-transcribe に移行すること」と書かれている(原文: 「Announced the deprecation of whisper-1, gpt-4o-transcribe, gpt-4o-mini-transcribe, and gpt-4o-transcribe-diarize. These models will shut down on February 26, 2027. Migrate to gpt-live-transcribe or gpt-transcribe.」)。つまり新シリーズは旧シリーズと並存し続けるのではなく、移行先として位置づけられている。移行までの猶予は告知から約6ヶ月。
gpt-4o-transcribeのモデルページを実際に取得すると、料金体系そのものが新シリーズと異なることが分かる。gpt-4o-transcribeは「音声トークン」の入出力に対してそれぞれ100万トークンあたり$2.5(入力)・$10(出力)を課金するトークン単価制で、対応エンドポイントはv1/realtime(フルのRealtime API)とv1/audio/transcriptions(ファイル文字起こし)の2つだった。これに対し、新シリーズのgpt-transcribe・gpt-live-transcribeは音声の長さに対してシンプルな分単価で課金し、ストリーミングではv1/realtime本体ではなくv1/realtime/transcription_sessionsという文字起こし専用のエンドポイントを使う。つまり移行にあたっては、モデルIDを差し替えるだけでなく、課金の見積もり方(トークン数→分数)と、ストリーミング側の接続先の両方を作り直す必要がある。
日本語での既存カバーとの違い
「GPT Transcribe」で検索すると、Zennにはgpt-4o-transcribeを扱った記事が複数見つかる。ハルシネーション対策としてWhisperから乗り換えた実践記事や、話者分離機能を試した記事などだ。いずれも対象はgpt-4o-transcribe系であり、2026年7月28日にリリースされた新シリーズ(gpt-transcribe・gpt-live-transcribe)そのものを扱った日本語記事は、この記事の執筆時点でZenn・Qiitaともに見当たらなかった。
精度そのものは検証していない
本記事はOpenAI公式のAPI変更履歴、GPT Transcribe・GPT Live Transcribe・GPT-4o Transcribeの3つのモデルページを情報源としている。料金・エンドポイント対応・レート制限の数字はすべて公式ページの記載を突き合わせて確認したが、自分で音声ファイルを用意して実際に文字起こしを実行し、精度やレイテンシを試す作業までは踏み込んでいない。既存のgpt-4o-transcribeとの精度比較(単語誤り率など)も行っていない。移行期限(2027年2月26日)までに実際にどこまで挙動が変わるか、旧モデルが期限前に劣化・制限されるかどうかも確認していない。
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