2026年7月17日 金曜日
AI時短ラボ
研究· 約7

DeepSeekショックとは──2025年1月に何が起きて、その後どうなったのか

2025年1月、中国DeepSeekの低コストオープンモデルR1の公開直後に米ハイテク株が急落し、NVIDIAは1日で約5,890億ドルという米国株史上最大の時価総額喪失を記録しました。何が起き、その後どうなったのかを1年半後の視点で振り返ります。2026年7月のKimi K3で再来した相似形の構図まで整理します。

DeepSeekショックとは──2025年1月に何が起きて、その後どうなったのか
執筆・編集:
目次

「DeepSeekショック」とは、2025年1月末、中国のAI企業DeepSeekが低コストをうたうオープンモデル「R1」を公開した直後に、米ハイテク株が急落した出来事です。中でもNVIDIAは1月27日の1日で株価が17%下落し、約5,890億ドルという米国株史上最大の時価総額喪失を記録しました(CNBC・Bloomberg報道)。1年半が経った今から振り返ると、この出来事の本質は「フロンティア級の知能が、低コスト・オープンで出てくることがありうる」と世界が初めて実感した瞬間だったと整理できます。そして2026年7月、Kimi K3の登場でよく似た構図が再来しています。

  • 2025年1月27日、DeepSeek R1公開直後にNVIDIA株は1日で17%下落。約5,890億ドルの時価総額喪失は当時の米国株史上最大(CNBC・Bloomberg報道)
  • R1側のコストは「主要モデルの訓練費用約560万ドル・約2ヶ月」と伝えられたが、これは同社側の主張で第三者検証はされていない
  • 株価はその後部分的に回復し、フロンティア各社は数ヶ月で性能差を開き直した。残ったのは「低コスト・オープンでフロンティア級が出うる」という前例

2025年1月、何が起きたのか

DeepSeekは中国のAI企業です。2025年1月20日、推論モデル(答えを出す前に思考の過程を長く回すタイプのAIモデル)「R1」を公開しました。R1はオープンウェイト——モデルの中身のファイルを誰でもダウンロードして使える公開形式——で提供され、性能は当時の米国トップ級に匹敵すると受け止められました。

市場を驚かせたのはコストの主張です。当時の報道では、「主要モデルの訓練費用は約560万ドル」という同社側の説明が伝えられ、開発期間は約2ヶ月とも報じられました。米国の主要AI企業が巨額の開発費とGPU投資を前提にしていた時期に、その何十分の一かの費用で肩を並べるモデルが出た——この受け止めが広がり、DeepSeekのアプリは米国の無料アプリランキングでChatGPTを抜いて一時首位に立ちました(日本経済新聞報道)。

なぜNVIDIA株が急落したのか

売りが集中したのは2025年1月27日(月)です。NVIDIA株は1日で17%下落し、約5,890億ドルの時価総額が消えました。CNBCはこれを「米国史上最大の1日の時価総額喪失」と報じています。下落はNVIDIA単体にとどまらず、ナスダック全体やデータセンター関連銘柄にも波及しました(Forbes報道)。

急落の理屈はシンプルで、「AIの訓練がこんなに安くできるなら、GPUはこれまでの想定ほど要らないのではないか」という連想です。AIブームの物理的な土台であるGPU需要に疑問符が付いたため、その供給元であるNVIDIAが最も大きく売られました。

その後どうなったのか

株価は部分的に回復しました。モデルの性能面でも、OpenAIやAnthropicなどのフロンティア勢(最先端モデルを開発する側)が数ヶ月のうちに再び差を開き直しています。「安いモデルが出たからAI投資は終わり」という単純なシナリオには進みませんでした。

一方で、消えなかったものがあります。「フロンティア級の知能が、低コスト・オープンで出てくることがありうる」という前例です。DeepSeekショック以前、最先端AIは巨額投資をした一握りの企業の占有物という見方が支配的でした。R1はその見方に最初の反例を突きつけました。以降、中国発のオープンモデルが定期的にフロンティアへ接近する、という展開が繰り返されるようになります。

2026年、Kimi K3で相似形が再来している

2026年7月、Moonshot AIの「Kimi K3」が発表されました。中国勢のオープン(重み公開予定)モデルが、フロンティア級の性能主張と低価格を引っさげて登場する——DeepSeekショックとよく似た構図です。詳細はKimi K3正式発表の記事にまとめていますが、「低コスト・オープンでフロンティアに迫る」というR1が作った型が、1年半後により深い位置で再演されている、というのが現在地です。市場や各社が今回どう反応するかは、まだ進行中の話として見守る段階です。

正直な但し書き

  • 訓練費用「約560万ドル」・開発期間「約2ヶ月」はDeepSeek側の説明を当時の報道が伝えたもので、第三者による独立検証を経た数字ではありません。費用に何を含めるかの定義も同社によります
  • 株価・時価総額の数字は2025年1月27日時点の報道値です。本記事は投資助言ではなく、投資判断には使わないでください
  • 「その後フロンティア勢が差を開き直した」は定性的な整理です。個別ベンチマークの数値比較は本記事の範囲外です

出典

シェア: ポスト はてブ

出典・参照資料

AIニュースの解説を動画でも

YouTubeでは注目ニュースの背景を解説し、Xでは新着記事をお知らせしています。

コメント

まだコメントはありません。最初のコメントを書いてみませんか?

AIについて聞きたいことはありますか?

質問箱で無料で受け付けています。回答は公開され、他の方の参考にもなります。

質問箱を見る →

関連記事