PFNが「PLaMo 3.0 Prime」公開──日本語性能でGPT-5.4 Miniに並び、コスト半額以下
Preferred Networksが2026年6月22日に公開したPLaMo 3.0 Primeは、推論モデルの日本語総合性能でGPT-5.4 Miniと同等の69.6を記録しつつ、評価コストは約半額。256Kコンテキスト対応、NICT・経産省GENIAC支援。Freeプランあり。

東京拠点のAI企業Preferred Networks(PFN)が2026年6月22日、自社開発の大規模言語モデル「PLaMo 3.0 Prime」を公開した。日本語に特化したフルスクラッチのLLMで、推論モデルの日本語総合性能はGPT-5.4 Miniと同等の69.6を記録しつつ、評価コストは約半額。
- 推論モデルの日本語性能69.6はGPT-5.4 Mini(69.6)と同等、コストは約半額(PFN公式ベンチマーク)
- コンテキスト長を64Kから256Kに拡張。Claude Haiku 4.5(200K)を上回る
- PLaMo Chatはデモ版として無料で利用可能(API側のFreeプランは2026年8月時点で「準備中」)。NICT・経産省GENIAC第3期の支援で開発
2つのバリエーション
PLaMo 3.0 Primeには推論モデルと非推論モデルの2種類がある。
推論モデルは高性能だが応答時間が長め。日本語総合性能69.6で、GPT-5.4 Mini(69.6)と並ぶ。評価コストは約1,016円で、GPT-5.4 Mini(約2,170円)の半額以下。
非推論モデルは高速応答向け。日本語性能64.7、評価コスト約323円。gpt-oss-120b(64.1 / 約133円)やClaude Haiku 4.5(59.8 / 約4,951円)と比較して、性能とコストのバランスが良い。
PFN公式ブログより。横軸が評価コスト(円)、縦軸が日本語性能。左上ほど高性能・低コスト。
前バージョンからの改善
PLaMo 2.2 Prime(日本語性能54.2)から推論モデルで+15.4ポイントの改善。PFN公式によると、強化学習をより長期間にわたって実施し、従来の約2倍のステップ数で学習したことが主な要因。
コンテキスト長は64Kから256KにYaRNと継続事前学習で拡張された。
日本語で強い分野・弱い分野
PFN公式の15項目ベンチマークによると、以下の傾向がある。
強い分野: 指示追従、対話、ツール使用、医療(医師国家試験)、コード生成、安全性
改善が必要な分野: Web探索、長コンテキスト処理、数学的推論、STEM、日本法令
安全性
NICT(国立研究開発法人情報通信研究機構)から提供を受けた安全性データを活用。HELM Safety評価(暴力・詐欺・差別・性的表現・ハラスメント・欺瞞の6カテゴリー)で競合モデルと同等以上の安全性能を記録している(PFN公式発表)。
料金
PLaMo ChatでFreeプランとStandardプランが利用可能。API経由での利用も可能。詳細な料金体系は公式ページ(plamo.preferredai.jp)を参照。
以下は2026年8月14日にPLaMo API公式料金ページ(plamo.preferredai.jp/api)と公式ドキュメント(docs.plamo.preferredai.jp)を開いて確認した内容である。記事公開日(6月22日)より後の状態のため、公開当時と異なる可能性がある。
3プランの単価(100万トークンあたり)
| プラン | 入力 | 出力 | 状態 |
|---|---|---|---|
| Free | 0円 | 0円 | 「現在は準備中のため、提供開始までお待ちください」と記載。登録ボタンは押せない |
| Standard | 60円 | 250円 | 登録後すぐ利用開始。個人・小規模組織向け |
| Provider | Custom | Custom | 用途・規模に応じた個別見積もり。生成AIサービス提供者向け |
Standardの単価には「128k tokensまでのInput/Output単価(128k tokens超はリリース記念期間中同額)」という注記が付く。128kトークンを超える長い入力の単価は、記念期間が終われば変わりうるということになる。また同ページには「利用料金の算出において、1円未満の値は切り上げられます」とある。
他社APIの入力/出力単価と比べる際の落とし穴(トークナイザ差、キャッシュ割引の有無)はClaude・GPT・GeminiのAPI料金の読み方にまとめている。
プランで変わるのは価格だけではない
同ページの機能比較表によると、扱いは以下の通り。
| 項目 | Free | Standard | Provider |
|---|---|---|---|
| Chat Completions API(OpenAI互換) | あり | あり | あり |
| ZDR(入力データの非保持) | なし | あり | あり |
| 入力データを学習に利用しない | なし | あり | あり |
| 従量課金(利用量の上限なし) | なし | あり | あり |
| レートリミット | 標準 | 大幅に緩和 | 個別に設定(応相談) |
| Reasoningの返却内容 | 要約のみ | 要約のみ | Reasoning本文+要約 |
| サポート | ドキュメント | メールサポート | 専任担当者(ミーティング対応可) |
「入力データを学習に利用しない」がFreeで「なし」になっている点は、利用規約側でも整合している。規約はFreeプランおよび無償サービスについて「本サービス、新サービス又はAIモデルの開発若しくは改善の目的で、閲覧又は利用する場合があります」と定め、有償サービスについては「開発若しくは改善の目的で、有償のサービスに関する本コンテンツを閲覧又は利用することはありません」と書き分けている。ただし規約の文言は「利用する場合があります」という留保付きで、利用を禁止しているわけではない。無料枠に業務データを入れる場合は、この留保を踏まえたうえで判断する必要がある。
API上のモデル名とコンテキスト長
公式ドキュメントのAPIリファレンスに記載されたモデルIDは以下の3つ。エンドポイントは https://api.platform.preferredai.jp/v1/chat/completions で、OpenAI互換のChat Completions形式。
| モデルID | コンテキスト長 | 最大アウトプットトークン数 | Reasoning |
|---|---|---|---|
| plamo-3.0-prime | 262,144トークン | 20,000トークン | 対応 |
| plamo-3.0-prime-beta | 65,536トークン | 20,000トークン | 対応 |
| plamo-2.2-prime | 32,768トークン | 4,096トークン | 未対応 |
ドキュメントによると、plamo-3.0-prime-betaは2026年7月31日、plamo-2.2-prime以前のモデルは2026年9月30日に提供終了となり、plamo-3.0-primeに統合される。
ここで一点補足がいる。冒頭で触れた推論モデルと非推論モデルは、APIでは別々のモデルIDとして分かれていない。plamo-3.0-primeという1つのIDに対し、reasoning_effort パラメータで切り替える。ドキュメントの記載は「サポートされているのは reasoning しない none か、標準的な量の reasoning を行う medium のみ」で、既定値は none。つまり何も指定しなければ非推論モデルとして動く。
なお max_tokens の既定値は4096で、入力トークン数+max_tokensがコンテキスト長を超えるとエラーになる。256Kコンテキストを実際に使うには明示指定が要る。
レートリミットと上限
公式ドキュメントの制限事項ページによると、以下の上限がある。
| 対象 | 上限 | 引き上げ申請 |
|---|---|---|
| plamo-3.0-prime のリクエスト数 | APIキーごとに100回/分 | 不可 |
| plamo-2.2-prime以前・翻訳モデルのリクエスト数 | APIキーごとに1000回/分 | 不可 |
| 利用額 | テナントごとに100万円/月 | 可 |
| APIキー | テナントごとに10個 | 可 |
| ユーザ | テナントごとに10人 | 可 |
| PLaMo Chat のリクエスト数 | 10回/分 | 不可 |
最新のplamo-3.0-primeが100回/分で、旧モデルの1000回/分より10分の1に絞られている点は、バッチ処理を考えている場合には効いてくる。
商用利用の条件と、重みの公開状況
出力(アウトプット)を第三者に提供・公開できるかは、プランによって条件が違う。利用規約第19条によると、Freeプランと無償サービスは規約違反・法令違反でない限り制限なし。Providerプランも制限なし。Standardプランだけは「以下の各号のいずれかの条件を満たし」という条件付きで、条件は「ユーザが法人事業者ではない」「ユーザ又はその関係会社の直近事業年度の収入又は売上が10億円を超えない」「エンドユーザがユーザー又はその関係会社の従業員である場合」「使用状況や使用方法を考慮して当社が合理的に禁止とした場合」の4号。さらに同条には「ユーザの利用状況や利用形態等を考慮して、当社が合理的に判断した場合には、第三者への提供又は公開を制限することがあります」という但し書きがあり、4号のいずれかを満たしていても当社の判断で制限されうる。売上10億円を超える企業が自社サービスに組み込んで外部提供する用途は、Providerプランの想定ということになる。
重みについては、PLaMo 3.0 Primeそのものの配布は確認できなかった。2026年8月14日時点でPFNのHugging Faceアカウント(huggingface.co/pfnet)に並ぶ公開モデルは29件あるが、その中にplamo-3.0-primeは含まれない。確認できたのはNICTとの取り組みによるベースモデル pfnet/plamo-3-nict-2604-31b-base(2026年6月23日更新、ライセンス表記 plamo-community-license、対応言語 en/ja)で、これはアクセス制限付き(ダウンロードにはPLaMoコミュニティライセンスへの同意が必要)だった。Hugging Face上のゲート方式は「auto」、つまり同意した時点で自動的にアクセスが付与される方式で、申請を審査して承認する工程は無い。つまりPrimeはAPIとChat経由の提供、重みが降りてくるのは別系統のベースモデル、という切り分けになっている。
そのPLaMoコミュニティライセンス契約は、商用利用に条件を付けている。第3条は「PFNの公式登録ページに事前に登録すること」と「ユーザー又はその関係会社の直近事業年度の収入又は売上が10億円(ユーザーの現地通貨換算額)を超えないこと」の両方を満たす場合に限り商業目的で利用できると定める。第4条は第三者へ提供する場合に「Built with PLaMo」の明示と、作成したAIモデルの名称に「PLaMo」を含めることを義務づけている。ここでの「商業目的」には、API経由での提供もユーザーの組織内部での利用も含まれると定義されている。
PFNとは
2014年設立の東京拠点AI企業。深層学習フレームワーク「Chainer」の開発元として知られる。ロボティクス・創薬・材料探索など産業AI応用に強みを持ち、PLaMoシリーズは日本語LLMとして50を超える自治体での採用実績がある。
同日のSakana AI「Fugu」との対比
同じ6月22日にSakana AIが「Fugu」を発表している。Fuguは複数の既存AIモデルを束ねるマルチエージェント方式でベンチマーク上位を狙うアプローチ。一方PLaMoはフルスクラッチで日本語特化モデルを自社開発する正攻法。東京拠点の2社が同日に異なる戦略で成果を出した形になる。
この記事について
本記事は2026年6月22日時点の情報に基づく。PFN公式ブログを一次ソースとして使用した。ベンチマーク結果はPFN自身の評価による。パラメータ数は公式に明記されていない。
料金・モデルID・上限・ライセンスの各節は2026年8月14日に公式ページを開いて確認した値で、記事公開日より後の状態である。以下は確認できていない。
- 学習トークン数は公式ブログに記載が無く、確認できなかった
- PLaMo 3.0 Primeのパラメータ数は、Hugging Face上のNICT系ベースモデルの規模(モデル名から31B)とは別物であり、Prime側の数値は公表されていない
- Freeプランは「準備中」表示のため、実際の利用量上限やレートリミットの具体値は公開されていない
- 本文中の「PLaMo ChatでFreeプランとStandardプランが利用可能」は公開当時の記述だが、2026年8月14日時点のPLaMo Chatのページには「PLaMo Chatはデモ版のため、どなたでも無料で利用できます」と書かれている。上記のFree/Standard/Providerの3区分はPLaMo API側の料金プランであり、Chatの区分ではない
pfnet/plamo-3.0-primeのHugging Faceページは401(アクセス制限)を返す。これは非公開リポジトリと存在しないリポジトリのどちらでも同じ応答になるため、「重みが存在しない」ことの証明にはならない。確認できたのは公開一覧に載っていないことまで
HFアクセス方式とFreeプランの記述訂正
- 2026-08-14: 「pfnet/plamo-3-nict-2604-31b-baseはアクセス制限付き(申請承認が必要)」という記述を、Hugging Face側の実際の仕組み(ライセンス同意で自動的にアクセスが付与される「auto」ゲート、審査工程なし)に合わせて訂正。利用規約第19条Standardプランの但し書き(当社判断による制限の可能性)と4号目の条件を補い、3号までを並べて「など」で締めていた記述を修正。無償サービスの本コンテンツ利用条項について「業務データを入れるなら無料枠では動かせない」という断定を、規約の留保付きの文言に合わせて修正。冒頭の要点3「Freeプランあり」を、PLaMo Chat(デモ版で無料)とAPI(Freeプランは準備中)の違いが分かる表現に修正。本文で使用していた利用規約・制限事項・コミュニティライセンス・Hugging Face組織ページの4件をfrontmatterのsourcesに追加
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