2026年9月4日 金曜日
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『AI語』はなぜバレるのか──脱AI化ツールdeclaudeから見る

「Certainly! Let me delve into that.」のようなAI特有の言い回しを平易な英語に書き換えるツール「declaude」が登場した。Claude Codeプラグイン・MCPサーバー・文書アップロードの3方式で使え、自社GPU上で動くオープンウェイトモデルQwen2.5-14Bで処理し、テキストはディスクに書き込まず処理後に破棄すると公式サイトは説明する。

『AI語』はなぜバレるのか──脱AI化ツールdeclaudeから見る
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目次

3行まとめ

  1. 「declaude」は、Claudeなど生成AIに特有の言い回し(「Certainly! Let me delve into that.」のような“アシスタント口調”)を平易な英語に書き換えるツール。公式サイトは「Claude writes like this. You don't have to read it.(Claudeはこう書く。あなたはそれを読まなくていい)」と紹介している。
  2. 使い方は3通りある。Claude Codeのプラグインとして2コマンドでフックを導入する方法、ブラウザサインインで使えるMCPサーバー、Markdownファイルをドロップして書き換え済みのファイルを受け取る文書変換の3つだ。
  3. 処理には自社GPU上で動くオープンウェイトモデルQwen2.5-14B-Instructを使用し、テキストはメモリ上で処理された後に破棄され、ディスク・データベース・ログには一切書き込まれないと公式サイトは説明している。

何を解決するツールか

declaudeの公式サイトは、このツールが解決する問題を一文で表現している。「Claude writes like this. You don't have to read it.」。生成AI、特にClaude系のモデルが頻出させる、丁寧だが冗長な“アシスタント口調”――たとえば「Certainly! Let me delve into that.(もちろんです!それについて掘り下げてみましょう)」のような言い回し――を、意味・コード・構造を保ったまま、より簡潔な英語に書き換えることを目的としている。サイトのデモには、変換前後の例として「One thing I didn't cover is the migration script. When you're ready, I can go through it with you.」という一文が示され、「Translate」ボタンで書き換えられる様子が紹介されている。

3つの使い方

公式サイトが案内する利用方法は次の3種類だ。

  1. Claude Codeプラグイン: 次の2コマンドでフックを導入できる。
/plugin marketplace add tenkenco/declaude
/plugin install declaude@tenken

導入後は/declaude:setupで設定し、Claude Codeの応答が平易な英語で表示されるようになる。サイトは「返信は平易な英語でレンダリングされるが、トランスクリプトとトークン課金には手を加えない」と説明しており、実際にモデルへ送信・課金されるテキスト自体は変更されない設計だとしている。

  1. MCPサーバー: ブラウザでのサインインのみでキーの貼り付けは不要。
claude mcp add --transport http declaude \
  https://speak-english.tenken.co/mcp
  1. 文書変換: MarkdownファイルをドロップするとAPI経由で書き換えられたファイルが返る。API呼び出しの例として次のようなcurlコマンドが示されている。
curl -X POST https://speak-english.tenken.co/v1/translate \
  -H "Authorization: Bearer $DECLAUDE_TOKEN" \
  -d '{"text": "Certainly! Let me delve into that."}'

このリクエストへの応答例として、公式サイトは{"translation": "Sure, here you go.", "model": "qwen2.5-14b-instruct"}というJSONを示している。

使用モデルとプライバシーの主張

公式サイトは「オープンソースモデル(Qwen2.5-14B)を自社GPU上で動かしている」と明記している(Qwen2.5は重みが公開されているモデルで、学習データや学習コードまで公開されているわけではないため、本記事では公式サイトの表記を引用する箇所以外は「オープンウェイト」と書く)。GitHub公式リポジトリ(tenkenco/declaude)のREADMEをcurlで確認すると、より正確なモデル名は量子化版の「Qwen2.5-14B-AWQ」で、GPUは「自社のL4 GPU(our own L4 GPUs)」と明記されていた。処理されるテキストについては「メモリ上で処理され、破棄される。ディスク・データベース・ログに書き込まれることは一切ない」と説明されており、第三者のAI APIにテキストを送信する形ではなく、自社インフラで完結させる設計を採用しているとしている。

READMEにはアーキテクチャ図も掲載されている。テキストで書き起こすと、クライアントからAPIキー・OAuth・Clerk JWTのいずれかで認証し、Google Cloud Run上のゲートウェイ(FastAPI製)を経由、VPC内部の内部ロードバランサーを通じてvLLM上のQwen2.5-14Bモデル(スポットインスタンスのL4 GPU)にたどり着く、という構成だ。利用状況・課金フラグ・APIキーのハッシュ値はFirestoreに、決済処理はStripeの支払いリンクと署名付きWebhookで扱われるとされている。インフラはTerraformで管理され、README内の「Operating notes」には「APIキーはSHA-256のハッシュ値として保存されるため、データベースが漏洩しても使えるクレデンシャルは得られない」「32Bモデルへの切り替えにはL4 GPU×2枚(クォータ増枠)が必要だが、14BならL4 1枚に収まる」といった運用上の注記もある。開発体制については「テストファースト(test-first)で開発しており、ドッグフーディング中に見つかった本番の不具合は、修正前に必ず回帰テストとして追加してきた」とし、pytestで197件のテストが走ると記載されている。

元ツールとホスト版、勢いの差

公式サイトのフッターにある「gvzdvによるclaudish-to-englishをベースにしている」という由来を、GitHub APIでリポジトリのメタデータとして突き合わせると、2つのプロジェクトの規模には大きな差があった(いずれも2026年8月29日時点のスナップショット)。

リポジトリ スター数 フォーク数 作成日 実行方式
gvzdv/claudish-to-english(元ツール) 2,383 109 2026-08-10 ローカルのOllama(既定モデルはApple Silicon向けのgemma4:26b-mlx)、またはCLAUDISH_PROVIDER環境変数でAnthropic API・OpenAI互換APIに切り替え可能
tenkenco/declaude(本記事のホスト版) 1 0 2026-08-12 Tenken社のクラウド(Google Cloud Run + L4 GPU)上でQwen2.5-14B-AWQを実行するホスト型サービス

元ツールのgvzdv/claudish-to-englishは、READMEによれば「表示専用(display-only)」の設計で、書き換えられるのは画面表示だけであり、Claude自身の推論や保存されるトランスクリプトは元のテキストのまま保たれる。またローカルのOllamaが落ちている・モデルが未取得などの理由でうまく動かない場合は「フェイルオープン(fail open)」、つまり何もせず元のClaudeの出力をそのまま表示する設計だとREADMEは強調している。この設計思想(フェイルオープン、表示のみ書き換え)は、公式サイトが紹介するホスト版declaudeのClaude Codeプラグインにも「トランスクリプトとトークン課金には手を加えない」という形で引き継がれている。

一方で、ホスト版tenkenco/declaudeのGitHubスター数はまだ1件にとどまっており、公式サイトが謳う機能の豊富さ(3つの利用方法、料金プラン、独自GPUインフラ)に比べると、外部からの反応はGitHub上ではまだほとんど確認できていない。

料金体系

公式サイトが示す料金プランは次の通り。

プラン 料金 翻訳回数 文書変換 カード登録
Free $0 100回/月 5件/月・200KBまで 不要
有料 $5/月 無制限 500件/月・2MBまで 必要

無料枠の上限に達すると、APIは402ステータスコード(Payment Required)と決済リンクを返し、加入後も同じキーを使い続けられるとされている。

開発の経緯

公式サイトのフッターには「Built by Tenken.(Tenkenによって作られた)」とあり、「gvzdvによるclaudish-to-englishをベースにしている。これはローカルのOllamaフックとして始まった元祖ツールだ」という由来が明記されている。つまり、個人開発者が作ったローカル環境向けのフックツールが、ホスト型のサービス(Webサイト・API・Claude Codeプラグイン・MCPサーバー)として拡張された経緯がうかがえる。

運営元tenken.coの本体サイトは、declaudeに触れていなかった

  • 本記事はdeclaude公式サイト(speak-english.tenken.co)とGitHub上の2つのリポジトリ・GitHub APIの内容を、2026年8月29日にcurlで直接取得して書いている。実際にツールを導入して動作・翻訳品質を検証したものではなく、記述は公式サイト・READMEの説明の整理にとどまる。
  • 運営会社「Tenken」の本体サイト(tenken.co)をcurlで確認したところ、そこで紹介されていたのは「Walkie」という別のプロダクト(「Claude・ChatGPTの会話から同期したコンテキストでAIエージェントをサービスとしてデプロイする」ツール)で、declaudeへの言及は見当たらなかった。同じ会社が複数の小規模プロダクトを並行して出している可能性があるが、tenken.coという法人の詳細(法人格・所在地・declaudeとの現在の関係)は本記事のソースからは確認できなかった。
  • 「攻撃成功率」のような定量指標とは異なり、declaudeの書き換え品質(意味・コードが本当に保たれるか、誤訳や情報欠落が起きないか)を検証した第三者のベンチマーク・レビューは見つからなかった。
  • 「AI語」という現象自体の背景(なぜLLMがこの種の言い回しを多用するのか)についての技術的な解説は、本記事では扱っていない。

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