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OpenAIが「Codex」の実行の仕組みを丸ごと公開──ARC-AGI-3のスコアが2つの設定変更だけで3倍になった話も

OpenAIは2026年8月19日、ChatGPTやCodexが使うエージェント実行の仕組み(ハーネス)をオープンソースで公開し、既存の業務ソフトの内側にエージェントループを組み込む設計を示した。7月29日には同じ仕組みの設定変更だけでARC-AGI-3のスコアが13.3%から38.3%に伸びたことも自社発表している。

OpenAIが「Codex」の実行の仕組みを丸ごと公開──ARC-AGI-3のスコアが2つの設定変更だけで3倍になった話も
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OpenAIは2026年8月19日、ChatGPTやCodexの内部で「エージェントループ」を回している実行の仕組み(ハーネス)を、CLI・app-server・公式SDKとしてオープンソースで公開した。公式ブログ「Codex as a platform」によると、狙いは新しいチャットアプリを作ることではなく、既存の業務ソフトの内側にこのループをそのまま組み込めるようにすることだという。この記事は2026年8月20日に公開した動画「OpenAIがCodexハーネスを公開。エージェントループを解説」の内容を、公開後に一次ソースを再確認して記事にしたものです。

3行まとめ ・OpenAIが2026年8月19日、ChatGPT/Codexが使うエージェント実行の仕組み(ハーネス)をCLI・SDK・app-serverとしてオープンソース公開 ・7月29日には同じ仕組みの設定変更(推論の保持+コンパクション)だけでARC-AGI-3のスコアが13.3%から38.3%(約3倍)、出力トークンは6分の1に ・税務処理のパイロットでは7,000件の申告書を処理し、準備時間を約3分の1削減(OpenAI自社発表・第三者検証の記載なし)

「ハーネス」「エージェントループ」とは何か

エージェントは、依頼を理解し、必要な情報を調べ、道具(ツール)を使い、結果を確認し、次の一手につなげる、という一連の流れを繰り返す。この繰り返し構造が「エージェントループ」で、これを実際に回している実行システム全体を指す言葉が「ハーネス(harness、馬具の意)」だ。OpenAIのブログはこのループを構成する要素として、タスクの理解、文脈の維持、関連情報の調査、ツール呼び出し、進捗の提示、失敗時の立て直し、必要時の人間の承認、有用な結果の返却、を列挙している。

何が公開されたのか

項目 内容
公開日 2026年8月19日
公開されたもの Codex CLI・app-server・公式Codex SDK
公開範囲 ブログいわく「オープンにするのはハーネスと統合の層。モデルへのアクセスと管理サービスは別」
組み込みの深さ(3段階) ①exec(単発呼び出し) ②SDK(自アプリからの開始・再開・進捗取得) ③app-server(スレッド作成・ターン実行・イベント受信・承認対応の4操作を持つ常時接続)
開発者が設計する3点 インターフェース(画面)/文脈とツール/運用上の境界(どこで動かすか・何に触れてよいか・何に承認が要るか)

ブログは、開発者が自社のダッシュボードや帳票をチャット画面に作り替える必要はないと明記しており、既存の画面の内側でエージェントが「状況を理解し、適切な文脈を調査し、次の一手を提案し、承認された行動を取る」ように拡張することを想定している。デモとして公開されている配送管理アプリ「Relay」では、担当者が遅延中の荷物を選んで操作ボタンを押すと、その選択対象・操作・画面状態がそのままエージェントに渡り、原因調査や選択肢の提示は自律的に進む一方、再手配のような書き込みを伴う操作は承認を得るまで実行されないとブログは説明している。

ARC-AGI-3で起きた「3倍」の話

このハーネス公開の1か月ほど前、OpenAIは別の発表として、ゲーム型の学習力ベンチマーク「ARC-AGI-3」で自社モデルGPT-5.6 Solの成績を検証した結果を公式ブログ(日本語版)で公開している。公開版ハーネスでの初期スコアは13.3%だったが、原因を調べると、モデル自体ではなくハーネス側の設定にあったという。具体的には「1手ごとに推論の内容をすべて破棄する」「会話の文脈が175,000文字を超えると古いメッセージから破棄する」という2つの挙動があった。

これを「前回のレスポンスIDを渡すだけで推論を自動的に持ち越す(推論の保持)」と「切り捨てる代わりに要約して続行する(コンパクション)」という、OpenAIが自社製品でも使っている設定に変更したところ、スコアは13.3%から38.3%(約3倍)に伸び、同時に出力トークン数は6分の1に減ったとブログは報告している。なお、同じ記事によれば人間テスターの平均スコアはプレイログから48%と推定されており、この設定変更後でもまだ人間の平均には届いていない。

実例:配送管理と税務処理

ハーネス公開のブログでは、既存業務への組み込み例として配送遅延対応(Relay)と税務処理の2つが紹介されている。税務処理では、米国のThrive HoldingsとCreteが確定申告の作成フローにCodexを組み込み、実務者からのフィードバックをループに取り込みながら運用した結果、パイロットで7,000件の申告書を処理し、準備時間を約3分の1削減したとブログは述べている。ブログの表現は「削減幅が3分の1」であり、所要時間そのものが3分の2になったという計算になる。専門家を置き換えるのではなく、既存フローの中に組み込む形を取っている点をブログは強調している。

このほか、GitHubとJetBrainsが開発ツールに、Ciscoが社内のアプリ開発基盤(App Builder)にCodex SDKを組み込んでいるとブログは記している。

どんな仕事に向くのか

ブログが挙げる実例(配送遅延対応・障害調査・顧客対応・税務処理)に共通するのは、状況が毎回異なりマニュアル化しにくいこと、業務画面・履歴・ログなど複数の情報源とツールをまたぐこと、調査と実行がひとつながりであること、そして重要な書き込み操作は自動化せず人間の承認を残す設計になっていることだ。逆に、要約や翻訳、材料がその場に揃っている一発の質問であれば、従来の1往復のチャットで足りるとブログの構成から読み取れる。

「3倍」はOpenAI自社測定、独立した追試はない

第一に、ARC-AGI-3の「3倍」という数字はOpenAI自社による測定であり、公開されている一次ソースの範囲では第三者による独立した追試は確認できていない。第二に、ARC-AGI-3の運営側はモデル間を公平に比較する目的であえてツールなしの汎用ハーネスを採用しており、13.3%と38.3%はいずれも「そのベンチマーク上の測定条件」での数字であって、実運用時の性能をそのまま表すものではない。第三に、公開されているブログの実例は、いずれも組み込みがうまくいったケースの紹介であり、うまくいかなかった事例やコストの内訳(モデル利用自体は従量課金)は本記事で確認できた一次ソースには含まれていない。

エージェントの基礎的な仕組みについてはAIエージェントとは、実行時に長い文脈をどう扱うかという論点はコンテキストエンジニアリングとはで別途整理している。Codexのレート制限の運用についてはOpenAIがCodexに「banked resets」導入も参照してほしい。

依拠した2本のOpenAI公式ブログ

本記事は、OpenAI Developers Blog「Codex as a platform: build on the open agent harness」(2026年8月19日)、およびOpenAI公式ブログ日本語版「2つの設定でARC-AGI-3ベンチマークのスコアが3倍に」(2026年7月29日)を一次ソースとして事実確認したうえで執筆した。数値・引用はいずれも上記2本のブログ本文に基づく。ARC-AGI-3のスコアはOpenAI自社測定であり第三者検証は確認できていない点、税務処理の削減幅は「準備時間の3分の1減」であって処理時間そのものの絶対値は公開情報からは確認できない点を、あらためて明記しておく。

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