1つのACPエージェントの中にClaude・Codex・Grokが同居する──『艦隊型』オーケストレータClaw Orchestrator
Claw OrchestratorはClaude Code・Codex・Antigravity・Grok Build・OpenCodeなど複数のコーディングCLIを77本のツールAPIでまとめて動かすランタイム。ACPエージェントとしても動作し、公式READMEは『他のACPエージェントは単体のエージェントだが、これは艦隊(フリート)だ』と位置づけている。開発者ドキュメントは、ACP v2をまだ意図的に採用していない理由として『ワイヤプロトコルはSDKリリースごとに互換性なく変わりうる』という記述を引用している。

目次
コーディングエージェントの多くは、Claude CodeならClaude Code、CodexならCodexという「1エージェント=1CLI」の関係を前提にしている。Claw Orchestratorは、この前提そのものを壊しにきているツールだ。READMEは自らを「Claude Code、Codex、Antigravity、Grok Build、OpenCode、あるいは任意のカスタムCLIを、永続的でプログラム可能なセッションとしてラップする」ランタイムだと説明する。GitHub APIで確認したところ、リポジトリの作成は2026年1月30日、スター数559・フォーク数90・Open issues 0件、直近pushは8月27日(2026年8月31日、記事更新時点の再確認)。
3行まとめ
- Claw Orchestratorは、Claude Code・Codex・Antigravity(
agy)・Grok Build・OpenCode・任意のカスタムCLIを1つのインターフェースで動かすマルチエンジン・ランタイム。77本のツールAPIで、CLI・OpenClawゲートウェイ・MCP・TypeScriptから直接呼び出せる。clawo acpコマンドでACPエージェントとしても動作する。READMEは「エコシステム内の他のあらゆるエージェントは単体のエージェントだが、これは艦隊(フリート)だ。モデルセレクタはエンジンごとにグループ化されており、1つのドロップダウンでClaude・Codex・Grokのモデルを同時に保持し、切り替えるとセッション途中でもエンジンごと切り替わる」と説明している。- ACP対応の技術文書は、ACP v2をあえて採用していない理由について「ACP v2は存在するが、公開されているのはドラフト版であり、そのREADMEは『ワイヤプロトコルはどのSDKリリースでも互換性なく変わりうる』と警告している」という記述を引用している。安定版のACP v1(
@agentclientprotocol/sdkのバージョン1.3.0に固定)で構築されている。
77本のツールで「セッション」「評議会」「自律ループ」「即席アプリ」を作る
READMEの機能表は多岐にわたるが、代表的なものを挙げると次のようになる。
- Persistent Sessions: リクエストをまたいで生き続ける長寿命のコーディングエージェント。コンテキスト・ツール・モデル・worktreeを制御できる
- Multi-Agent Council: 複数のエージェントを孤立したgit worktreeで並列実行し、合意に達するまで投票させる
- Fan-out: 1つのタスクをN個のエンジン/モデルの組み合わせに並列で投げ、回答を集約する。複数エンジンをまたいだbest-of-N/多視点比較のためのプリミティブ
- Autoloop: Planner・Coder・Reviewerという3エージェントが、それぞれ独立したエンジン/モデル選択のもとで自律的にワークスペースを反復させる
- Ultraapp: 5つの質問に答えるインタビューを3エージェントのOpus評議会に渡すと、
localhost:19000/forge/<slug>/にTailwind UI付きのWebアプリがデプロイされる - Verification Plane: コマンド実行・HTTPプローブ・スクリーンショット・差分ポリシー・ファイルアサーションといった受け入れ契約をランタイム自身が実行し、証拠一式をディスクに残す。契約を持つ実行は、それに通らない限り
completedにはならず、契約を持たない実行は「成功」を主張せずunverifiedとして完了する - Run Ledger & Spend Caps: すべてのエンジンの全ターンが、エンジン・モデル・トークン数・コスト・所要時間とともに永続的なJSONL台帳に記録される。
maxBudgetUsdはランタイム側が強制するため、Claude Codeだけでなく Codex・Grok・agy・OpenCodeでも予算上限が効く
READMEにはツールAPI全体(77本)を列挙したリファレンスファイルへのリンクもあった。実際にskills/references/tools.md(約6.7万バイト)を開いてカテゴリごとの見出しを数えると、次のようになっていた。
| カテゴリ | ツール数(ファイル内の表記) |
|---|---|
| Session Lifecycle | 5 |
| Session Operations | 5 |
| Project State | 1 |
| Claude | 4 |
| Codex | 13 |
| Claude CLI | 1 |
| Fan-out | 3 |
| Agent Teams | 3 |
| Council | 7 |
| Inbox | 3 |
| Ultraplan | 2 |
| Ultrareview | 2 |
| Autoloop | 6 |
| Ultraapp | 14 |
| Workflow kernel & verification | バージョン表記のみ、個数表記なし |
カテゴリ見出しに付いた数字を単純合計すると69本になる一方、ファイル内の###個別ツール見出しをgrep -cで数えると67本だった。READMEが謳う「77本」とは一致せず、カテゴリ内訳の数え方(サブツールや将来追加予定の欄を含むかどうか)によるズレとみられるが、この記事ではその原因までは特定していない。
クイックスタートとOpenClaw連携
インストールと起動は次の2行だ。
npm install -g @enderfga/claw-orchestrator
clawo serve # dashboard at http://127.0.0.1:18796/dash
統合方法は複数用意されている。スタンドアロンCLI(clawo serve)のほか、OpenClawプラグインとしてのインストールスクリプトも公開されており、実行すると~/.openclaw/openclaw.jsonにプラグインが登録され、ゲートウェイが再起動、77本のツール全てがOpenClawの全エージェントから使えるようになるという。MCPサーバー(clawo-mcp)としても登録でき、対応ホストにはHermes Agent、Claude Desktop、Cursor、Cline、Continue、Zed、Windsurf、Gooseなどが挙げられていた。
ACPエージェントとしての立ち位置:「単体」ではなく「艦隊」
clawo acp(または専用バイナリclawo-acp)を実行すると、Claw OrchestratorはJSON-RPC over stdioでACPを話すエージェントとして振る舞う。ACPリファレンス文書によれば、これによりZed・JetBrains系IDE・Neovim・Emacs・VS Code ACP拡張、さらにはDeepSeekのdshCLI(@deepseek-ai/dsh-subagent-acpプロバイダ経由)からも、Claw Orchestratorをコーディングエージェントとして駆動できる。
READMEはこの立ち位置を「エコシステム内の他のあらゆるエージェントは単体のエージェントだが、これは艦隊だ」と表現している。モデルセレクタはエンジンごとにグループ化されており、1つのドロップダウンでClaude・Codex・Grokのモデルを同時に保持し、切り替えるとエンジンごとセッション途中でも切り替わる。チャットボックスから/council・/ultraplan・/ultrareviewといったコマンドでマルチエージェントのオーケストレーションを起動できるとも説明されている。
ACP v2はまだ採用していない、という判断
ACPリファレンス文書の「Protocol version」という項目には、次のような記述があった。
Built against stable ACP v1 (
@agentclientprotocol/sdk, pinned1.3.0). ACP v2 exists but is a published draft whose README warns the wire protocol "may change incompatibly in any SDK release", so it is deliberately not used.(安定版のACP v1(
@agentclientprotocol/sdkのバージョン1.3.0に固定)を基盤にしている。ACP v2は存在するが、公開されているのはドラフト版であり、そのREADMEは「ワイヤプロトコルはどのSDKリリースでも互換性なく変わりうる」と警告しているため、意図的に採用していない。)
Claw Orchestratorの開発者は、この一文を根拠に「まだACP v2には手を出さない」という判断を明示している。ACP公式サイトには/protocol/v2/overviewというページがすでに存在し、v2のプロトコル仕様自体は閲覧できる状態だった。ただし、この記事の執筆時点でそのv2ドキュメント内から「ワイヤプロトコルが互換性なく変わりうる」という一文そのものを見つけることはできず、Claw Orchestrator側が参照している「v2のREADME」がどのリポジトリ・どのページを指しているのかは、この記事では特定できなかった。
AI時短ラボの制作フローとの接点
このサイトの記事執筆・動画制作は複数のClaude Codeセッションを並行して走らせる運用をしている。Claw Orchestratorが掲げる「Run Ledger」(全ターンをJSONL台帳に記録し、エンジン横断で予算上限を強制する)という発想は、複数エージェントを同時に動かす際の「今どれだけ使ったか分からなくなる」問題への一つの解として読めた。実際にこのツールを導入して比較したわけではないが、README記載の設計思想だけでも参考になる部分があった。
一次のv2 README自体には未到達
この記事はGitHub公式README、ACPリファレンス文書(acp.md)、ツールリファレンス(tools.md)、GitHub APIメタデータをもとに書いている。「ACP v2 README」からの引用として示した一文は、Claw Orchestrator側のドキュメントが引用している形をそのまま孫引きしたものであり、ACP公式のv2リポジトリ・v2 README原文を直接grepして一字一句を確認したわけではない。ツール数についてはtools.mdを実際に開いてgrep -cで数えたが、それでも67本とREADMEの「77本」の間にズレが残った。Run Ledgerの実際のJSONLフォーマット、Verification Planeの証拠バンドルの中身、Codexカテゴリ13本・Ultraapp14本それぞれの個別パラメータの正確性については、この記事では未確認。実際にこのツールをインストールして複数エンジンを同時に走らせる検証は行っていない。
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