2026年8月28日 金曜日
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ChatGPTのメモリが大幅刷新──「Dreaming V3」で事実の記憶精度67.9%→82.8%に

OpenAIがChatGPTのメモリシステムを「Dreaming V3」に刷新した。事実の記憶精度は67.9%から82.8%に、好みの追従は55.3%から71.3%に向上したとOpenAIの内部評価で示されている。メモリは自動更新され、新しい要約ページで確認・編集が可能になった。

ChatGPTのメモリが大幅刷新──「Dreaming V3」で事実の記憶精度67.9%→82.8%に
執筆・編集:
目次

3行まとめ

  1. OpenAIがChatGPTのメモリシステムを「Dreaming V3」に刷新。2026年6月4日からPlus/Proユーザー(米国)に展開開始
  2. OpenAIの内部評価によれば、事実の記憶精度は67.9%→82.8%、好みの追従は55.3%→71.3%、時間経過後の精度は52.2%→75.1%に向上
  3. メモリは自動更新方式に変わり、新しい「メモリ要約ページ」で確認・編集・指示が可能に。Free/Goユーザーへの展開は数週間後

何が変わったか

OpenAIが2026年6月4日、ChatGPTのメモリシステムを**「Dreaming V3」**に刷新した(OpenAI Release Notes)。会話の文脈保持・ユーザーの好み追従・過去の情報の経時更新が大きく改善されたという。

「V3」とは何のV3か

OpenAIの発表ページ「Dreaming: Better memory for a more helpful ChatGPT」(2026年6月4日公開、2026年8月14日確認)によれば、ChatGPTのメモリは3段階に分けて説明されている。

時期 仕組み
2024年4月 保存されたメモリ(saved memories)。「7月にシンガポールに行くと覚えて」のような明示的な指示を手がかりに書き込む方式
2025年4月 dreamingの最初のバージョンを導入。保存リストの外にあるチャット履歴を背景処理で参照し、メモリを自動的に整理する
2026年6月 Dreaming V3。dreamingを補助ではなく土台に据えた新しいアーキテクチャ

OpenAIは同ページで、旧方式について「メモに書き留めたこと以外は忘れてしまう相手と話しているような体験になりうる」「時間が経つと古くなり、やがて不正確または無関係になる」と説明している。V3はこの置き換えにあたる。

同ページには、Freeユーザーにdreamingを提供するために必要な計算量を約5分の1(approximately 5x)に削減したことも記載されている。Free展開が後回しになっていた理由は、品質基準とサーバー側のコストだったという説明だ。あわせてPlus・Proユーザーのメモリ容量は2倍になるとOpenAI Release Notes(2026年6月4日)に記されている。

数字で見る改善

OpenAIの内部評価によれば、以下の指標が改善された。数値はOpenAI発表ページに埋め込まれたグラフデータ(一次)、およびNeowin・Tech Timesの報道(二次)の両方で確認できる(一次での確認方法は次節)。

指標 2024年 2025年 2026年(V3) 変化(2025→2026)
事実の記憶精度(Factual Recall) 41.5% 67.9% 82.8% +14.9pt
好みの追従(Preference Adherence) 31.4% 55.3% 71.3% +16.0pt
時間経過後の精度(Accuracy Over Time) 9.4% 52.2% 75.1% +22.9pt

「時間経過後の精度」の22.9ポイント向上が目立つ。これまでのメモリは時間が経つと古い情報をそのまま使い続ける傾向があったが、V3では情報を自動更新する仕組みが入ったことで改善された、とNeowinは報じている。2024年はdreaming導入前の「保存されたメモリ」のみの時点で、そこからの伸びが最も大きいのはmemory_corretness(時間経過後の精度、9.4%→75.1%)である。

ただし、これらはOpenAIの内部評価であり、第三者による独立検証ではない点に注意が必要だ。

一次ソースでの確認方法

2026年8月14日にOpenAIの発表ページへ直接アクセスしたが、Cloudflareのボット判定により403で読み込めなかった(curl・WebFetchとも同様)。Wayback Machineに保存された同ページのアーカイブ(2026年8月5日時点のスナップショット)で生HTMLを取得したところ、ページ本文のテキストには数値の記載がない一方、ページに埋め込まれた3本のグラフのVega-Lite仕様(JSON)に、上記6つの数値がすべて記載されていた。標準的なテキスト抽出(本記事の初回確認で使用した方式)はグラフコンポーネントのデータを読み落とすため、「本文には無い」という誤った判定になっていた。

3本のグラフのデータキーはfactual_recall・preference_adherence・memory_corretness(原文ママ、correctnessのタイポ)で、値は上の表のとおり。ただし3グラフとも表示タイトルは"Preference adherence"に統一されており(OpenAI側のコピペミスとみられる)、指標名はグラフのタイトルからは判別できない。識別できるのはデータキーと、掲載されているセクション見出し(Carrying forward context/Following preferences/Staying current over time、ページ内でこの順に並ぶ)からで、この順序はfactual_recall/preference_adherence/memory_corretnessの出現順と一致する。本記事が使う「時間経過後の精度(Accuracy Over Time)」という呼称はNeowinの表現であり、OpenAI自身の文言ではない。

評価に使ったプロンプト数・判定方法・母数は、確認した範囲では公開されていない。

使い方の変化

自動メモリ更新

V3では、メモリが自動で更新される。ChatGPTが会話から重要と判断した情報を自動的に記憶し、古い情報は新しい情報で上書きされる。

メモリ要約ページ

新しい**「メモリ要約ページ」**が追加された。ここでChatGPTが記憶している内容を一覧で確認し、修正・削除したり、「この話題はいつ持ち出して」といった指示を出すことができる。

展開スケジュール

対象 時期
Plus / Pro(米国) 2026年6月4日〜(展開中)
Free / Go 数週間後
米国外 順次

2026年8月14日時点で、ChatGPTのRelease Notes(8月13日分まで)にFree・Goプランへの展開完了を告げる記載は見つからなかった。6月4日の記載は「本日、米国のPlus・Proユーザーに展開。Free・Goプランと他国には今後数週間で拡大する」、6月12日の記載は「メモリのアップデート(メモリ要約を含む)はプランと国をまたいで展開中で、利用可能になったらChatGPT内で通知する」となっている。

なお、Memory FAQには「アカウントが新しい」「メモリを有効にしたばかり」「チャット履歴が少ない」場合にもメモリ要約が表示されないと書かれている。要約ページが出ないことは、そのまま未展開の証拠にはならない。

個人AI活用者にとっての意味

ChatGPTを日常的に使っている人にとって、メモリ精度の向上は体験の質に直結する。「前に言ったことを覚えていない」「好みを毎回説明し直す」といった手間が減る。

一方で、Tech Timesが指摘しているように、自動更新方式になったことでメモリの監査証跡(いつ何が記憶されたか)が追いにくくなる側面もある。プライバシーを気にする場合は、メモリ要約ページでの定期的な確認が推奨される。

記憶された内容をどこで確認し、どこで止められるか

監査証跡の話は、ユーザー側で実際に何ができるかとセットでなければ判断材料にならない。OpenAI Help Centerの「Memory FAQ」「Data Controls FAQ」(いずれも2026年8月14日確認)に書かれている操作条件は以下の通り。設定名は英語版UIの表記。

やりたいこと 場所・操作 公式に明記されている制約
メモリのオン/オフ Settings > Personalization > Memory いつでも切り替えられる
記憶内容を見る メモリ要約(memory summary)ページ。上部に最終更新時刻が表示される 「要約はChatGPTが覚えていることのすべてを含むわけではない」とFAQに明記。気になる内容はチャットで直接聞くよう案内されている
内容を直す 要約ページ下部の入力欄に修正内容を書く/要約中の該当箇所を選択して個別に訂正
表示中のメモリを消してオフにする 要約ページの三点メニュー →「Delete and turn off memory」 過去のチャットは削除されない。後でメモリを再びオンにすると、残っているチャット(古いものを含む)から新しいメモリが作られうる。ウェブで提供中、モバイルは展開中
ある情報を完全に消す 過去のチャット、アーカイブ済みチャット、ファイル、メモリ要約のすべてから削除し、その情報を含む接続アプリを切断する FAQは「その情報が現れるすべてのソースを削除する必要がある」と記載
回答に何が使われたか見る 回答の下の本アイコン(sources)。カスタム指示・過去チャット・ファイル・メモリの内訳が表示され、メモリを選ぶと使われた理由が出る 「すべての要因やソースを表示するとは限らない」とFAQに明記。共有したチャットにソースは含まれない
その会話を残さない 一時チャット(Temporary Chat) 既存のメモリを使わず、新しいメモリも作らない。OpenAIのシステムからは30日後に削除され、学習には使われない(悪用監視のためのレビュー対象にはなりうる)
学習利用を止める Settings > Data Controls >「Improve the model for everyone」をオフ メモリのオン/オフとは別の設定。オフにしても会話は履歴に残る。アカウント単位で全デバイスに反映される
旧方式に戻す Settings > Memory >「Saved memories」 旧方式では個別削除と全消去ができる。削除した保存メモリのログは安全性とデバッグのため最大30日保持される場合があるとFAQに記載

注意すべきは、OpenAI自身が要約ページもソース表示も網羅ではないと書いている点だ。「いつ何が記憶されたか」を項目単位で追跡する手段は、公式ヘルプを読む限り用意されていない。追跡可能性を優先するなら、残したくない会話は一時チャットで行うか、メモリをオフにするかという選択になる。

また、Data Controls FAQには「メモリとパーソナライズ機能をオフにしても、まれな高リスク状況で安全に応答するために安全性に関わる限定的な文脈を使う機能は無効にならない」と記載がある。オフ=一切参照されない、ではない。

各設定の画面ごとの手順はChatGPTメモリ機能の使い方で解説している。

改善率の数値は本文でなくグラフの内部データにしかない

  • 改善数値はOpenAIの内部評価であり、評価方法の詳細は公開されていない
  • 米国外への展開時期の具体的な日付は未発表
  • 本記事は2026年6月5日の報道に基づく。展開状況は変わりうる
  • 67.9%→82.8%などの数値は、OpenAI発表ページに埋め込まれたグラフデータ(一次、Wayback Machineの2026年8月5日アーカイブで確認)と、Neowin・Tech Timesの報道(二次)の両方に存在する。発表ページの本文テキストだけを読むと数値は見当たらない(グラフのVega-Lite仕様の中にのみ記載されているため)
  • OpenAI自身がメモリ要約もソース表示も網羅ではないと明記しているため、記憶内容の全量をユーザーが把握する方法は確認できていない
  • 日本を含む米国外での適用状況は、Release Notesで国別に明示されていない。日本のアカウントでの挙動は未検証
  • 本記事に記載した設定パスは英語版UIの表記に基づく。日本語UIでの表示名は異なる場合がある

更新・訂正履歴

  • 2026-08-14: 「一次ソースで確認できた範囲」節と但し書きの「OpenAIの発表ページ本文では確認できなかった」という記述を訂正。標準的なテキスト抽出ではグラフコンポーネントのデータが失われるため「本文にない」と誤判定していたが、Wayback Machineのアーカイブ(2026年8月5日時点)で生HTMLを取得したところ、ページに埋め込まれた3本のグラフのVega-Lite仕様に67.9%→82.8%などの数値がすべて記載されていた。数値の帰属をNeowin・Tech Timesの二次情報のみから、OpenAI発表ページ(一次)を確認できたものに修正した
  • 2026-08-14: 「数字で見る改善」の表に2024年(dreaming導入前)のベースライン値(41.5% / 31.4% / 9.4%)を追加。一次ソースのグラフデータには存在するが、初出時の記事は2025→2026のみを扱っていた
  • 2026-08-14: 3本のグラフの表示タイトルがOpenAI側のコピペミスで"Preference adherence"に統一されている旨と、「時間経過後の精度(Accuracy Over Time)」という呼称がOpenAI自身の文言ではなくNeowinの表現である旨を追記
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